【ライター望月の駅弁膝栗毛】
冬の笹川流れを進む特急「いなほ」号。
訪れた日は、暖冬で雪がないとは言いながら、冬の日本海の荒波が細かい飛沫となって、海沿いの集落は、白く煙っていました。
風光明媚な景色が日常の暮らしのなかにあることは、とても羨ましい半面、それぞれの家やマイカーなど、塩への対応、メンテナンスには大きなご苦労があることが推察されます。
特急「いなほ」号は、山形・庄内平野へ入ると、天候に恵まれれば、美しい鳥海山が望めることもあります。
荒々しい新潟の海と、凛とそびえる山形の山。
動と静、海と山、新潟と山形といった、対照的な「2つの景色」が1度に楽しめる「いなほ」号。
羽越本線の魅力を存分に楽しめる、乗っていて飽きない列車です。
駅弁でも、「2つの食材が1つの折」で楽しめるのは、とても嬉しいものです。
新津を拠点に駅弁を製造する「三新軒」の「新潟牛トン弁当」(1100円)は、新潟和牛のごぼう煮と、越後もち豚のたれカツが一緒に楽しめる駅弁。
三新軒自慢の牛肉駅弁と豚肉駅弁の味を、1つの折でいただくことができます。
牛と豚どっちにするか迷ったとき、両方少しずつ食べたいときなど、重宝な駅弁ですよね。
【おしながき】
・ご飯(新潟県産コシヒカリ)
・越後もち豚たれカツ
・新潟和牛ごぼう煮
・おくらと菊なめこの和え物
・舞茸の煮物
・錦糸玉子
・赤かぶの酢漬け
・鉄火豆
「新潟和牛弁当」でおなじみの牛肉のごぼう煮と、「新潟たれカツ重」でおなじみの味噌漬けした越後もち豚のロースかつが、ハーフ&ハーフになって、新潟産コシヒカリのご飯の上に載った駅弁です。
ネーミングからは、肉のたっぷり感が感じられますが、おくらの和え物や舞茸の煮物も入り、しっかりとおかずをいただくこともできるのが有難いですね。
「いなほ」号も、日本海の夕日色で彩られたレギュラー版と、ハマナス色のピンク、瑠璃色の青と3つのカラーリングが楽しめる列車です。
酒田・秋田寄りの1号車に連結されているグリーン車は、全国の在来線特急のなかでも、特に快適と評判の車両。
上越新幹線や新潟の駅弁と組み合わせて、快適な旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/