ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月13日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。WHOが新型コロナウイルスをパンデミックと表明したニュースについて解説した。
WHOが新型コロナウイルスをパンデミックと表明
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、新型コロナウイルスはパンデミック(世界的流行)とみなせると表明。WHOがパンデミックの呼称を使うのは、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶりとのこと。経済への影響もさまざま出ており、ニューヨークのダウ平均株価は1987年のブラックマンデー以来の下落率、9.99%の下落となった。終値は2万1200ドル62セント、前日と比べ2352ドル60セント安で取引を終えている。
飯田)株への影響、経済への影響もあります。
宮家)パンデミックはいいけれど、何をいまごろ言っているのでしょう。1週間以上前から、専門家はそのつもりで動いているわけだから。
飯田)全部、後手後手な気がします。
宮家)大きな流れとしては、中国の専門家が2月中に「ピークはもうすぐだ。4月か5月には終わる」と言っているのだから、中国ではそういうストーリーがもう決まっているのです。あとは変えようがない。例えば、いまの上海のような大都市で、感染者が0であるはずがないでしょう。どうしても信用できない部分がある。しかし、いまはもうそのような状況ではないです。
イタリアと似た推移をしているアメリカ~国民レベルで気がついて生活を切り替えられた国が成功している
宮家)アメリカでのいまの感染者の増え方は、非常に嫌な感じです。アメリカの方に聞いたのですが、現在の増え方は最初の数日間はイタリアとまったく同じだそうです。毎日少しずつ増えている。いまのイタリアの感染者数は1000人単位で増えているのですが、アメリカでもそうなってしまうのではないかと心配していました。うまく行っているところは、各国が組織として国民レベルで気がついて、よくも悪くも生活態度を変えてしまっています。そこをうまく切り替えられた国がコントロールに成功しています。ある意味では中国もそうだったと思います。
飯田)武漢では医療崩壊が起こった。いまイタリアで起きているのも医療崩壊です。この病気の致死率を考えると、それよりも医療崩壊が起こる怖さがあります。
宮家)集団感染の1つの大きな要因が、病院だと思います。甘く見ている国ほど被害が大きくなる可能性がある。日本は早く気が付いた方だと思います。私はケンタッキーから戻って来たばかりですが、いまのアメリカの状況を見ていると、徐々に静かなパニックが始まっている。サンフランシスコ沖にグランド・プリンセスという客船が来ています。皮肉なものですけれど、1ヵ月前の日本と同じ状況になっていて、だんだん感染者が増えている。アメリカの場合は乗客をすぐに下船させて、一部の人たちは軍の施設に連れて行ったでしょう。軍の施設でも、除菌用ではなく普通のベビー用品のティッシュを使っていたとか、いろいろ批判をする人がいる。アメリカでさえ、あのときの日本と同じ状況なのです。
検査能力もなく、右往左往するアメリカ
宮家)アメリカもいまは検査能力がない。トランプさんはいくらでも検査をやると言っていますが、専門家たちはすぐにはできないと言っています。「できない」と言ってくれた方が信用できます。
飯田)アメリカでも重症者であるとか、確定的に症状が出ている人に限っての検査という形のようです。
宮家)韓国が1日1万も2万も検査できて、日本も数千になると思うけれど、アメリカはまだ全然できていません。CDCがあるからうまく行くと思ったらとんでもない。アメリカはいま、右往左往しています。
飯田)実際の供給能力とは、また別の話ですよね。
宮家)アメリカは広いし。
飯田)日本は国民皆保険で、アメリカはそうではないという違いも指摘されますけれども、そういうところもありますか?
宮家)そうです。お金のない人は、そもそも病院に行けないわけですから。アメリカも形は違うけれど、似たような問題を抱えている。日本だけではなく、世界中が苦労しているのです。
飯田)こういう危機のような状況になりますと、それぞれの弱いところがさらけ出されるような気がします。
宮家)強いところも弱いところも、もろに出ます。中国の場合コントロールは強権でやった。感染者数は減ったかもしれないけれど、この後はどうするのか、ずっとこのままにするのか。そうすると中国経済が止まってしまいますよ。だからと言って、緩めた途端にまた感染が拡がったらどうするのかと。ワクチンもありません。中長期的には、半年~1年は影響が続くという覚悟をしなければなりません。
飯田)そこで時間を稼いでいるうちに、ワクチンの開発を待つということになるのですね。
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