4・17は世界血友病デー 正しく知りたい「血友病」のこと 

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4月17日(金)の「世界血友病デー」に伴い、血友病の専門医である東京医科大学・臨床検査医学分野教授の天野景裕(かげひろ)氏が、同日放送されたラジオ番組「大橋未歩 金曜ブラボー」(ニッポン放送・毎週金曜13時~)にゲスト出演。普段なかなか聞く機会のない血友病について、正しく理解するため、血友病はどのような疾患なのか、治療法や血液製剤の現在、また身近に血友病の方がいた場合にどのようなことを気にかければいいかなどを説明した。

血友病は、出血した際に血が止まりにくいという特徴があり、日本では約6,000人で、そのほとんどが男性。およそ「男性5,000人に1人」の割合で発症する。

天野氏は東京医科大学を卒業後、アメリカのミシガン大学へ留学。帰国後は大学に戻って2012年に教授に就任し、卒業生が選ぶ「ベストティーチャー賞」を2度も受賞。専門は血友病やHIV感染症、輸血学など。

■血友病とは?

誰でもケガをしたら血が出ますが、血友病は、血を固めるために必要な「血液凝固因子」といわれる物質が少なかったり、うまく働かないことによって、なかなか血が止まらないという疾患です。かさぶたにならないわけではないですが、そうなるのに時間がかかってしまいます。

「血液凝固因子」というのは血液の中にあるタンパク質のひとつで、血を止めるために必要なもの。ケガをすると、血管が切れたところに血小板が集まってきて土嚢のように血の流出をせきとめてくれます。その周りをさらにセメントで固めてくれるのが、血液凝固因子のイメージです。

血友病には主に2つのタイプがあって、1つは血液凝固因子の「第VIII因子(だいはちいんし)」が欠損または機能が低下している血友病A。2つ目は、「第IX因子(だいきゅういんし)」が欠損または機能が低下している血友病B。血液凝固因子は全部で13番まであり、その中の一部の因子が足りないというのが血友病です。

■日本における血友病患者

現時点での最新のデータで、2019年5月の時点で日本人の血友病患者さんは6,596人であると報告されています。いわゆる「希少疾患」に分類される疾患で、患者さんの数は多くはありませんが、まれにそういう方がいる、という感覚です。

■なぜ男性の患者が多いのか?

男性・女性を決める性染色体「X染色体」、「Y染色体」というものを学校で聞いたことがあると思います。女性の場合はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつというように、男女によって異なっています。血友病は、このX染色体に関わる疾患であり、X染色体が1つである男性に発症する、というわけです。つまり遺伝子に関わる疾患のため家系で繋がっていきますが、そういった繋がりがなくても、突然変異で急に血友病になる場合もあります。「家系に血友病の人はいなかった」という人でも、突然血友病の患者さんが生まれこともあるので、家系だけでは分かりません。頻度は少ないですが、「誰でもなり得る疾患」ということです。

■血友病の症状

血友病の方は目には見えない部位でも出血が起こります。例えば「関節の中」で起こる出血は、血友病の方にとって非常に問題で、熱をもって腫れ上がったり、強い痛みを伴う場合もあります。関節の中で繰り返し出血を起こすことで、関節の動きが悪くなったり、関節の機能が低下してしまう事がありますので、そうならないように治療をしなければなりません。

■血友病の治療

血友病の治療は考え方としてはとてもシンプルで、血液凝固因子が足りないわけですから、「足りないものを体に補充してあげればいい」ということです。注射を使い、足りない血液凝固因子を補充してあげると、血が固まるようになってくれます。

血友病の治療薬「血液凝固因子製剤」は、献血など人の血液を原料に、凝固因子だけを取り出すという技術で作られていましたが、最近では、遺伝子組み換えという技術があり、合成して第VIII因子や第IX因子を作ることが可能になりました。

■現代技術で安全になった血液凝固因子製剤

以前の技術では、原料に混ざったHIVウイルスやC型肝炎ウイルスを確認したり、排除したりすることもできなかったので、血液凝固因子製剤を使われた患者さんが、残念ながらHIVウイルスやC型肝炎ウイルスに感染してしまい社会問題になりました。

しかし現在は、献血の時点でしっかりと確認できますし、検査でも全部確認できています。熱をかけたり、フィルターを通したり、科学的なやり方でウイルスの活動性を無くすので(不活化)、安全性は高くなっています。技術の進歩によって、現在用いられている治療薬では、HIV感染やC型肝炎ウイルスに感染した報告はありませんから、そこは安心して頂いて大丈夫だと思います。

■治療法の進歩

以前は、出血したときにだけ注射を行い、補充していましたが、最近では、出血しないように定期的に補充する予防的な治療法が主流となっています。この治療法を、「定期補充療法」と呼びます。先ほど言ったように血友病の方が関節内の出血を繰り返すことで関節が悪くなってしまう事は生活の質を大きく低下させるため、そうなる前から定期補充療法を行うことで、一般の人と変わらない生活を送れることが期待されています。

血友病は生まれつきの疾患なので、小さい頃から定期的に注射をします。お父さんやお母さんに注射方法を習得してもらい、家庭でお子さんに注射し、小学校高学年位からは自分で注射をするようになります。きちんと注射をしていれば、学校や仕事も続けられますし、運動や旅行も楽しめるようになってきています。また、最近では注射をする間隔が長くなるといった、新たな治療薬も開発されていますので、患者さんにとっては治療の選択肢が増えてきています。

■自分の周りに血友病の人がいたら、どんな気づかいが必要か?

先程紹介した定期補充療法などをしていれば、基本的には特別扱いをする必要はありません。ただ、ケガをしたり何か違和感があった場合は病院に行ったり、注射をして早く出血を止めた方が良いので、一緒に運動をするときは気にしてあげるといいとは思います。本人はいっぱい遊んだり、楽しいと我慢してしまったり言えなかったりするかもしれないので、そんなときには一声かけてあげる、というくらいでいいと思います。

■血友病に関し、女性の方が気を付けることは?

遺伝的疾患であることから血友病に関わる因子をお持ちの女性の方もいらっしゃいます。『血友病保因者』と呼ばれ、日常生活に支障のない方も多いのですが、女性特有の「月経」が重くてつらいという悩みをお持ちの方もいます。また出産時には鉗子分娩や吸引分娩を避ける必要がありますので、親族に血友病の方がいる方など、思い当たる方は医療者にご相談ください。

「血友病」「血液製剤」「血が止まらない」と聞くと身構えてしまうかもしれないが、医学の進歩によってコントロールが可能になり、やみくもに恐れるような病気ではなくなっている。本人はもちろん、周囲も正しく理解すれば、血友病と上手く付き合って生活していくことが可能だろう。

記事監修:中外製薬株式会社
血友病情報サイト「Smile-On」:https://smile-on.jp/(中外製薬株式会社 提供)

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大橋未歩 金曜ブラボー

毎週金曜 13:00 - 17:20

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『“一緒に笑顔になる時間”「大橋未歩 金曜ブラボー」』金曜午後にお届けする、「トーク」&「ミュージック」を基本とした大型ワイド番組です。番組の大テーマは、「笑顔(Smile)」。パーソナリティ大橋未歩の明るい笑い声で、リスナーのあなたの笑顔を増やし、ガンバるあなたにとっての癒しとなれるような、そんな心地よい時間を届けます。


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