音楽と映画のステキな関係性

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第813回】

音楽と映画のステキな関係性

ニッポン放送「Tokyo cinema cloud X」

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

いまも昔も極上の映画体験には、音楽の存在が不可欠と言っても過言ではありません。最近では映像と音楽の新たな関係性を追求する作品も生まれ、映画好きにとっても音楽好きにとっても気になるものが次々と誕生しています。

そこで今回は、音楽が印象に残る映画を4作品ご紹介します。

音楽と映画のステキな関係性

※写真はAmazonより

往年の名作から最新作まで、音楽映画は進化し続けている!

『アベンジャーズ』シリーズのマーベル・スタジオが贈る『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。全員がお尋ね者の宇宙最凶チームが宇宙を救うために立ち上がる、アクション・アドベンチャー超大作です。

2017年には続編となる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』が公開され、第3弾の制作も順調に進んでいるという人気シリーズで、重要なファクターとなっているのが音楽。

ノーマン・グリーンバウムの「Spirit in the Sky」やデヴィッド・ボウイの「Moonage Daydream」など、懐メロ満載の“最強ミックス”が映画を一層盛り上げています。

主人公のピーターが幼いころ、母親からもらったカセットテープから流れる音楽…という設定も新鮮。本作がきっかけで、カセットテープブームが再燃したのも、記憶に新しいところですね。

音楽と映画のステキな関係性

※写真はAmazonより

スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、ロバート・ゼメキス監督で大ヒットを記録した『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。

名車デロリアンを改造したタイムマシンで1985年から1955年へ行った主人公・マーティが、自分と同世代だったころの両親と出会って騒動を巻き起こすSFアドベンチャーの大傑作は、2020年に製作35周年を迎え、いまなお多くの人から愛されています。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と言えば、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが歌う主題歌「パワー・オブ・ラブ」があまりにも有名ですが、音楽の使い方に遊び心があふれているのが特徴。

舞台となる1985年と1955年の違いを音楽を通じてわかりやすく表現しており、なかでも「ジョニー・B・グッド」を、1955年当時にはないギターテクニックでマーティが演奏するシーンは、シリーズで一二を争う名場面と言えるでしょう。

当時は、ギターを弾きながら歌うマイケル・J・フォックスを観て、ギターを始めたキッズも多かったとのことですよ。

音楽と映画のステキな関係性

ニッポン放送「Tokyo cinema cloud X」

1987年のイギリスを舞台に、パキスタン移民の少年がブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長して行く姿を瑞々しく描いた青春音楽映画『カセットテープ・ダイアリーズ』。

現在は英国ガーディアン紙で活躍するジャーナリストであるサルフラズ・マンズール氏の自伝的な回顧録を元に、『ベッカムに恋して』のグリンダ・チャーダが監督を務めました。

本作を彩るのは、もちろんブルース・スプリングスティーンの楽曲たち。これまで「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」や「レスラー」などの楽曲が主題歌として提供されたことはあるものの、ブルース・スプリングスティーンの楽曲がひとつの映画のなかでこれほど多く使用されるのは史上初のこと。

なかでも映画のエンディングで流れる本邦初公開となる未発表曲「アイル・スタンド・バイ・ユー」は、不安に苛まれたときや1歩踏み出す勇気が出ないときに、そっと背中を押してくれるような温もりに満ちた1曲です。

音楽と映画のステキな関係性

ニッポン放送「Tokyo cinema cloud X」

アカデミー作品賞を受賞した『ムーンライト』をはじめ、個性的な作品作りで、いまやアメリカ映画界の最前線を走る存在となったスタジオA24。その最新作となる『WAVES/ウェイブス』は、その斬新な作品性で日本公開前から注目を集めています。

本作の主役とも呼べるのは、現在の音楽シーンをリードする豪華アーティストたちが手がける31の名曲。メガホンを取ったトレイ・エドワード・シュルツ監督は、事前に本編に使用する楽曲のプレイリストを作成し、そこから脚本を着想したとのこと。

全編に流れるすべての楽曲が、登場人物の個性や感情に寄り添い、ときには音楽がセリフの代わりに彼らの心の声のように聞こえて来て、実にエモーショナル。従来のミュージカルとは一味違った<プレイリスト・ムービー>の誕生です。

 

<作品情報>

■ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年日本公開)
Blu-ray&DVDリリース デジタル配信中
監督:ジェームズ・ガン
脚本:ジェームズ・ガン、ニコール・パールマン
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、リー・ペイス、マイケル・ルーカー、カレン・ギラン、ジャイモン・フンスー、ジョン・C.ライリー、グレン・クローズ、ベニチオ・デル・トロ
日本語吹替版:山寺宏一、朴璐美、楠見尚己、遠藤憲一、加藤浩次(極楽とんぼ)、白熊寛嗣、立木文彦、森夏姫、乃村健次、大滝寛、一柳みる、石住昭彦

■バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年日本公開)
Blu-ray&DVDリリース デジタル配信中
監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、トーマス・F・ウィルソン、リー・トンプソン、クリスピン・グローヴァー、クローディア・ウェルズ

■カセットテープ・ダイアリーズ
近日公開
監督:グリンダ・チャーダ
脚本:サルフラズ・マンズール、グリンダ・チャーダ、ポール・マエダ・バージェス
原作:サルフラズ・マンズール「Greetings from Bury Park: Race, Religion and Rock N’Roll」
出演:ヴィヴェイク・カルラ、クルヴィンダー・ギール、ミーラ・ガナトラ、ネル・ウィリアムズ、アーロン・ファグラ、ディーン=チャールズ・チャップマン、ロブ・ブライドン、ヘイリー・アトウェル、デヴィッド・ヘイマン
(C)BIF Bruce Limited 2019
公式サイト http://cassette-diary.jp/

■WAVES/ウェイブス
近日公開
監督・脚本:トレイ・エドワード・シュルツ
出演:ケルヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル、スターリング・K・ブラウン、レネー・エリス・ゴールズベリー、ルーカス・ヘッジズ、アレクサ・デミー
作曲:トレント・レズナー&アッティカス・ロス
(C)2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.
公式サイト https://www.phantom-film.com/waves-movie/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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