ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月16日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。小池都知事が発表した総額3574億円の補正予算案について解説した。
東京都が総額3574億円の補正予算案
東京都の小池百合子知事は15日に記者会見を開き、新型コロナウイルス対策の補正予算案を発表した。
小池知事)総額3574億円の補正予算案を提出いたします。「感染拡大防止協力金」の創設。医療機関等における感染を予防するための、保険衛生用品の配備の支援などを進めるものであります。
飯田)15日の会見の模様でした。この補正予算案は、17日に開会する東京都議会の臨時会に提出され、22日に可決、成立の見通しです。休業要請に対しての協力金ですが、事業者の申請受付は22日から専用のホームページ、郵送などで始める方針です。またゴールデンウィーク明けからは、給付も予定しているということです。資料を見ますと、この緊急対策は第4弾なのですね。
「協力金」であり、「補償」ではない理由~「補償」として欲しかった
鈴木)まず3574億円という額ですが、やはり大きいです。東京都は全国47都道府県のなかで唯一、税金だけで行っています。国から補助をもらわずに自前でやっている。本社がたくさんあり、法人税がたくさん入る、お金持ちの自治体です。いま都として独自にやろうと、こういう形になっていますが、「協力金」という言い方が引っ掛かります。なぜ「補償」と言わないのか。実は補償ということになると、たくさんお金を出さないといけなくなるのです。
飯田)本来得られたはずの収入が得られなかった。その補償であるから、計算が必要ということですね。
鈴木)それを行うとかなりの額になるのです。しかし、それは当たり前です。コロナ感染により、市民の商売ができなくなっている。彼らには何の罪もないのですから、補償してもいいではないですか。ですが、そうなるとたくさんのお金が出て行ってしまうので、とりあえずの「一律協力金」ということです。本当は国が行うべき話ですので、東京都は苦しいところですが、私は思い切って挑戦的に「補償」という言葉を使ってもよかったのではないかと思います。それに世論が喚起されて、「そうだよな、補償だ。ただ協力しましたという一律金の、ほんの少しの手当てという話ではないのだ。補償してもらおう」となる。そして、都は頑張っているけれど、足りなくなる。他県では財源がない。「国が何とかしろ」ということを、全国の知事が世論として国に突き上げるためにも、「あえて補償とつけました」くらいの行動をしてもよかったのではないかと思います。
補填するお金と次に使うお金が必要~いまの倍額出すべきである
鈴木)この第4弾の対策ですが、お金を出すにしても、しっかり分けて考えなければなりません。コロナ感染に対して、お店などが休業して出た損失を補填するお金と、消費するため、未来のために使うお金は分けなければなりません。補填するお金は、本当に損した分だけを補填する。使おうが使うまいがいい、というくらいのお金を、まず渡すということです。その上で第2弾として、これからの経済、商売をどのように展開して行くのか、そこに対しての助成をする。2段階のお金をしっかりと分けて見る必要があると思います。麻生さんが言っていたように、一気にお金を出すと貯金してしまうという声がありますが、本来あるべきお金を渡すのですから、使わなくてもいいのです。極端に言えば、補填するお金と、次に向かうお金。つまり、いまの倍額を出せということです。それくらいの覚悟をもって、行政側はやって行かなければなりません。
飯田)今回の都の補正を見ると、いま困っている、出血しているところを手当てするような部分に重点が置かれていて、その先の経済対策はまだこれからという感じです。一方で国の補正予算や経済対策を見ると、これから先の経済対策も混ぜこぜになっていて、本来の出血への手当てはどのくらいなのかという点が、少し心もとないですね。
鈴木)よく見て行くとわずかですよね。いま取材していますが、財務省が中心になって、108兆円の政府の分はつくったようです。数字のマジックがたくさんあって、おっしゃるように出血を止めるためのお金はどのくらいかというと、そもそも真水は20兆も行かないわけですから。さらに30万円というのは、ざっくり6兆円ほどになりますが、プラスαくらいの話だと思います。
飯田)企業への給付金なども、その程度の規模という話ですからね。
鈴木)そうです。融資は無利子と言っていますが、そのお金は基本的に返さなければなりません。全然足りないし、遅いです。
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