中小企業でテレワークが進まぬ事情~掛け声だけでなくサポートを
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月14日放送)にジャーナリストの有本香が出演。テレワークの推進状況について解説した。
菅官房長官、最低通勤者7割の削減を企業に要請へ
菅官房長官は13日午前の記者会見で、新型コロナウイルス感染防止の取り組みについて「通勤者の減少が十分でない」とし、「テレワーク推進支援を強化することで出勤する人を最低7割減らすことを、関係省庁を通じて企業に要請する」と述べた。
コストを負担できない中小企業にはサポートが必要
飯田)そうは言っても、会社に出なければならない人もいらっしゃると思います。東京都の小池知事ですが、13日夜にインターネットで配信した会見のなかで、テレワークの推進を訴えました。会見に同席した、一般社団法人日本テレワーク協会専務理事の田宮一夫氏の声です。
田宮)東京都のテレワークの推進状況が、全体で26%。300人以上の企業で見ますと、57.1%にテレワークが導入されている一方で、50人未満の企業は14.4%ということで、若干こちらの導入率が悪いということが課題でございます。
小池都知事)ぜひ経営者の皆様方に強く訴えさせていただいて、「うちの業種じゃダメだよ」とはお考えにならず、ぜひとも強力にテレワークをおすすめいただきたい、加速させていただきたいと存じます。
飯田)このようにテレワークをやってくれと訴えていますが、個人情報を取り扱う人などは、なかなかできないでしょうし。
有本)そうでしょうね。業種によるところがまず1つあると思います。テレワークの推進で今回印象に残ったのは、いち早く、1ヵ月以上前だったと思いますが、三菱商事は数千人規模でテレワークを実施すると発表しました。大企業の方が、むしろテレワークに関するさまざまなコストを負担できるということもあるのだと思います。私たちのような仕事は簡単にテレワークができるのですが、そうではない業種でデスクにいるスタッフを全員テレワークにといっても、それをつなぐシステムはどうするのか、セキュリティはどうするのかという話になりますよね。そこも企業に対してのサポートが必要で、なかなか掛け声だけでは難しいと思います。
1ヵ月休業するタクシー会社も
有本)聞いたところだと、タクシー会社も4月~5月にかけて、1ヵ月近く会社を休みにするというところが出ています。お客さんがいないなかで、車を動かしていればそれだけコストがかかるから、ということです。ドライバーの方たちの人件費の手当てさえつけば休みにすると。私たちはタクシーを利用できないということになってしまいますが、そういうところまで含めて、通勤して来ないようにするわけですよね。テレワークという範疇ではなく、いままであったいろいろな機能を止めることによって、どこまで感染が抑え込めるかということになります。
軽症者向けの対応の拡充が必要
有本)ただ東京に関して言うと、ものすごい勢いで感染者が増えているという状況ではないですよね。院内感染の数字がかなり大きかったのは衝撃でしたが、そういうケースでない限りは、いまのところ感染は抑えられて来ています。死亡者の数も、諸外国と比べれば日本は奇跡的に少ないですよね。あとは軽症の方を受け入れる施設が整って、スムーズに行われれば何とか持ちこたえる感じになるのではないかと。
飯田)軽症の方をホテルなどに受け入れてもらうという仕組みが始まったばかりですが、いまは100人くらいのところを、さらに拡大させなければいけません。
有本)あとは、自宅待機する人へのバックアップの体制です。これはシンガポールが早い時期からやっていました。軽症で自宅にいる場合も、必要なものがいろいろと出て来るではないですか。そのときに外へ出ないように、買い物のサポートをする。シンガポールはそれを、一部ボランティアも活用してやっていました。こういうネットワークを早急につくるということだと思います。
飯田)自宅に隔離する形で療養ということになると、13日から初診でのオンライン診療もスタートしました。我々もいまは同じスタジオではなく別のところで、映像はスカイプで見ながら音声をつないでいます。そういう疑似対面の形で診察をする、それによって重症化させないようなケアをするなど、いろいろと工夫はできるかも知れません。
有本)感染した人、症状が出た人をどうするかというところに、もう少しバリエーションのある対策を打つことによって、そうではない人たちの日常生活を日常に戻して行く出口も考えなければいけないところだと思います。
アジア諸国が比較的感染の抑制をしている
飯田)欧米諸国の大変なところばかりが報道されますが、一方でうまくやっているのは、アジア各国の方に先例がありそうですね。
有本)例えば台湾やシンガポールもあるし、アジアの方が比較的、死亡者も少なく収まっています。何か理由があるのかも知れません。
飯田)ウイルスの特性みたいなものがある可能性も。
有本)そういうところも見ながらではありますが、とにかく医療崩壊を起こさないことが最大の命題になっていますので、そのために、そうではない人をどうやって引き受けるか、あるいは自宅待機をどこまで合理的にうまくやれるかというところですね。
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