なぜ「8割減」なのか~政府が具体的に説明できない理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月24日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。小池都知事が発表した買い物対策等について解説した。
小池都知事がスーパーの買い物対策を発表
小池知事)都民の皆様方には毎日のお買い物を是非、3日に1回くらいに控えていただきたい、変えていただきたいということであります。
東京都の小池百合子知事は23日、新型コロナウイルス感染拡大によるスーパーや商店街の混雑対策を発表。密集、密閉、密接の「3密」の解消に向け、都民に対して「毎日の買い物を3日に1回程度に控えていただきたい」と要請している。
飯田)23日の段階では、イニシャルや頭文字で規制をするというようなことが言われていましたけれども。
宮家)いま、外出して最も緊張するところは、病院とスーパーですよね。都心はガラガラでも、近くのスーパーは混んでいる。確かに、私は3日に1回くらいしかスーパーには行っていません。
発言が二転三転~危機のときには状況も変わるので二転三転するもの
飯田)これに対して、たくさんメールもいただいています。西東京市の“マサシ”さん、35歳会社員の方。「そもそも『日常の買い物に行っていいですよ』とはっきりおっしゃったのは都知事ではないですか。状況に変化がなく、苛立ちや焦りを感じているとしか思えないです」と。
宮家)こういう危機のときには、状況が二転三転するので、発言も二転三転するものです。べつに弁護するつもりはないけれど、いずれにせよ、みんなフラストレーションが溜まっているから、誰かのせいにしたくなる気持ちはわかります。けれども、ある程度みんなで心を合わせないと、なかなかよい結果は出ませんから。7割ではダメで、8割減らさないといけないのですよね。つまり、スーパーに行くのは10日に2回です。3日に1回だと多いのではないかと、こういう話になってしまいます。
飯田)毎日行っていた人が3日に1回になると、6割くらいの削減にとどまることになりますね。
宮家)だけど、買い物時間を短くするなど、いろいろな方法があると思います。
政府は「8割減」についての具体的な説明が必要~説明できない理由
飯田)海外から聴いている方もいらっしゃいます。 “サミージー”さん、47歳の男性の方。「接触8割減政策」について、サンフランシスコからいただきました。「8割減について、さまざまな自治体もいろいろ動いていますけれども、8割減はあくまで手段ですよね。それ自身が目的のように語られていると感じます。政府は8割減ができれば、どれだけ感染速度を抑えられるのか、8割減の状況をどれくらいの期間継続するのか、8割減でも感染速度が抑えられない場合にはどんな対策が考えられているのかなど、具体的な説明がもっと必要なのだと思います」といただきました。
宮家)確かにそうです。本当はもっと説明をしなければいけないのだろうけれど、そこには問題があって、政策決定や意思決定をする人たちの多くは政治家で、選挙で選ばれた人たちなのです。だけど、この人たちには医療の専門知識はない。だから専門家を呼ぶ。専門家を国家公務員にして責任を負わせればいいのですが、そうではなく、結局は有識者会議、専門家会議になる。そこから諮問が戻って来て、それに基づいて決断するという形です。だから、専門家会議の人たちにそのような細かい話をさせるのかと言ったら、それは彼らの責任外の部分にあります。このように日本はアメリカとは明らかに違うやり方をしているのです。それが悪いと言うわけではありませんが、サンフランシスコから見ると、そのように見えるのでしょう。
飯田)アメリカの場合は、CDC(疾病対策予防センター)も基本的には国家に属していて、責任も負っている。
宮家)そうです。そういう意味では、アメリカは一元的だけれど、日本は二元的な部分があります。
飯田)仕組みの違いということになりますね。
宮家)日本の戦後の意思決定の仕方は、アメリカのような形ではやらないということなのでしょう。
飯田)そこはきちんと政治家が責任を負うのだと。
宮家)そうです。
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