Netflixで配信中! 気鋭監督の注目映画&ドラマ
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第850回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、Netflixで配信されている、気鋭の監督による注目作を2タイトルご紹介します。
スパイク・リー監督が放つ、忘れてはならない歴史と“いま”
まずは、『ザ・ファイブ・ブラッズ』。
『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『ブラック・クランズマン』など、黒人俳優を主役に“人種差別”という重いテーマに踏み込んだ作品を手がけている、スパイク・リー監督の最新作です。
ベトナム戦争から、ほぼ半世紀。共に戦ったアフリカ系のベトナム帰還兵の4人、ポール、エディ、オーティス、メルヴィン。
彼らはノーマン隊長の遺骨と埋蔵金を探すために、再びベトナムを訪れる。その地は昔とは様変わりしていたものの、当時の傷跡がまだ残っていた。
かつて銃を持って進んだジャングルへと立ち入って行く4人は、やがて自らの戦争の記憶と向き合って行く…。
さまざまなアスペクト比の歴史的映像を織り交ぜながら、ベトナム戦争の残酷さのみならず、人権問題を取り巻く現実やトランプ政権にまつわる批判まで、映画を通じて事実を伝えようとするスパイク・リー監督の“意志”が作品の底辺にしっかりと流れている本作。
そうした強いテーマ性を持ちながらも、エンターテインメントとして楽しめるつくりになっているのは、スパイク・リー監督の面目躍如といったところ。
アメリカで黒人暴行死事件の抗議デモが白熱するなか、間違いなく“いま観るべき1本”です。
これはもう、映画のリメイクではない! オリジナルドラマとして秀逸!!
そして、『スノーピアサー』。すべてが凍りついた世界で、残された人類を乗せて地球を走り続ける列車"スノーピアサー”で、支配層と被支配層による壮絶な戦いを描いた全10話からなるドラマシリーズです。
ジャック・ロブ、バンジャマン・ルグラン、ジャン=マルク・ロシェットによるグラフィックノベル「Le Transperceneige」と、同作品を原作とするポン・ジュノ監督の2013年の映画『スノーピアサー』を原案として製作されました。
ドラマ版「スノーピアサー」では、ストーリーの舞台となる列車の車両数を1001両に拡大。それぞれの車両に乗車するキャラクター、そしてそれぞれの階級の生活を丁寧に描くことで、多様な物語を展開させることが実現しました。
爽快なスピード感が特徴だった映画版に対し、ドラマ版はひとつひとつのエピソードが濃密でサスペンスフルなタッチとなっています。
ちなみに、シーズン2は新型コロナウイルスによるロックダウン前に撮影を完了。映画のリメイクではなく、オリジナルドラマとして楽しめること間違いなしのシリーズです。
<作品情報>
■Netflix映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』
Netflixにて独占配信中
監督:スパイク・リー
脚本:ダニー・ビルソン、ポール・デ・メオ、ケヴィン・ウィルモット、スパイク・リー
音楽:テレンス・ブランチャード
出演:デルロイ・リンドー、ジョナサン・メジャース、クラーク・ピータース、ノーム・ルイス、イザイア・ウィットロック・Jr、メラニー・ティエリー、ポール・ウォルター・ハウザー、ヤスペル・ペーコネン、ジョニー・グエン、チャドウィック・ボーズマン
原題:Da 5 Bloods
公式サイト https://www.netflix.com/jp/title/81045635
■Netflixオリジナルシリーズ『スノーピアサー』
Netflixにて独占配信中
原案・脚本・製作総指揮:ポン・ジュノ
出演:ジェニファー・コネリー、ダヴィード・ディグス、ミッキー・サムナー、アリソン・ライト、レナ・ホール、イド・ゴールドバーグ、スーザン・パーク、ケイティ・マクギネス、サム・オットー、シェイラ・ヴァンド、ロベルト・ウービナ、マイク・オマリー、アナリース・バッソ、ジェイリン・フレッチャー、ハッピー・アンダーソン、ティモシー・V・マーフィ、ヴィンセント・ゲイル、ケリー・オマリー
原題:Snowpiercer
公式サイト https://www.netflix.com/jp/title/80177458
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/