【ライター望月の駅弁膝栗毛】
今年(2020年)7月23日、箱根登山鉄道の箱根湯本~強羅間が運転を再開しました。
いわゆる“登山電車”が活躍するこの区間は、令和元(2019)年10月の台風19号で大きな被害を受けましたが、復旧工事が順調に進み、約9ヵ月で運転再開を果たしました。
全線運転再開を記念し、箱根登山鉄道1000形電車「ベルニナ」号の編成には、“再会ありがとう”と書かれた、記念のヘッドマークが取り付けられています。
(参考)箱根登山鉄道ニュースリリース・2020年7月21日分
「箱根登山電車」の魅力は、何といっても、急勾配とスイッチバック!
80パーミル(1000mで80mを登る)の急勾配を、車輪の力だけで登る鉄道は、日本ではココだけなんだそう。
合わせて、出山信号場、大平台駅、上大平台信号場の3ヵ所でスイッチバックが行われ、その都度、運転士さんと車掌さんが入れ替わるのも、登山電車ならではの光景です。
箱根登山鉄道・箱根湯本駅は、新宿方面への特急ロマンスカーの始発駅ということで、定番に加えて、さまざまなイベントごとに、多彩な駅弁が販売されています。
今回の運転再開に際しては、期間・個数限定で、二段重ねの「箱根登山電車 箱根湯本駅↔強羅駅間『再会』記念弁当」(1300円)が販売されています。
箱根湯本駅弁ではおなじみ、「後藤商事(はこね弁当)」の製造です。
【おしながき】
(一の重)
・俵ご飯(白飯・赤飯)
・ごま昆布
・桜漬け
(二の重)
・赤魚西京焼き
・蒲鉾
・玉子焼き
・鶏肉の立田揚げ
・鶏つくね
・煮物(かぼちゃ・かんもどき・エビ・人参・麩・ひじき煮)
・わさび漬け
・こんにゃく水晶餅
「後藤商事(はこね弁当)」が手掛ける箱根湯本駅弁のいいところは、昔ながらの経木のふたが使われているので、ふたを開けたとき、古きよきいい駅弁の香りが楽しめること。
後藤商事によると、今回は運転再開を祝して、ご飯に「赤飯」を入れ込んだそうです。
また、湯本温泉街で200年以上の歴史を誇る「萩野豆腐店」のがんもどきや、大平台「角山」の麩、小田原「わきや蒲鉾店」の蒲鉾など、地元の味もギュッと詰まっています。
「箱根彫刻の森美術館」の脇を、昔ながらの登山電車が駆け抜けて行きます。
モハ2形電車・108号は、平成20(2008)年の箱根登山鉄道創業120周年からいわゆる“金太郎塗装”が施されてきましたが、今回の運転再開から通常塗装に戻りました。
やっぱり箱根の山には、登山電車が行ったり来たりする風景が、よく似合います。
お出かけの方は万全の対策をした上で、箱根の自然を存分に楽しみたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/