【ライター望月の駅弁膝栗毛】
今年(2020年)は、8月10日が「山の日」。
中央道と圏央道の八王子ジャンクションを横目に中央本線の特急「あずさ」号が、裏高尾の勾配をグイグイと登って行きます。
E353系電車12両編成が、高速で走り抜けて行く風景は、頼もしさを感じさせますね。
例年、夏は甲信の山を目指す人が目立ちますが、残念ながら今年は少数派のようです。
中央本線から分岐する小海線も、山登り路線。
標高881mの小淵沢から、山梨・長野県境近くのJR鉄道最高地点の標高1375mまで、約500mをディーゼルカーやハイブリッド車両が力強く登って行きます。
清里・野辺山の高原リゾートも、普段は避暑を楽しむ人で賑わいますが、今年は少なめ。
各自判断でお出かけになる場合は、事前の体調管理と万全の対策を施したいものです。
そんな中央本線や小海線の旅のお供に“山つながり”の駅弁といえば、小淵沢を拠点に駅弁を製造する「丸政」の「山賊焼弁当」(980円)かも知れません。
山賊焼は、「あずさ」号の行先でもおなじみ信州・松本周辺で食べられている郷土料理で、鶏肉のむねやももをにんにくを効かせたタレで味付けし、片栗粉をまぶして揚げたもの。
小淵沢、甲府をはじめ、東京・大宮など首都圏主要駅でもお目にかかることができます。
(参考)JA長野県ホームページ
【おしながき】
・茶飯
・山賊焼き(鶏肉・醤油・にんにく)
・玉子焼き
・山菜煮
・人参煮
・桜漬け
ふたを開けると、にんにくなどの風味が効いた山賊焼が、茶飯の上にドーンと現れました。
丸政では、小淵沢・長坂・富士見など中央本線各駅で展開している駅そばのメニュー、「山賊そば」でもなじみのある味です。
匂いはあまり気になりませんし、いまは列車内もマスクをしていますから、ハードルは低め。
玉子焼き、煮物と香の物など、ちょっとしたおかずが付いているのも有難いですね。
「あずさ」号が、岡谷~みどり湖間の塩嶺トンネルを抜けて、諏訪湖の畔にやって来ました。
塩尻峠(塩嶺峠)は中央分水嶺となっており、岡谷に降った雨は、諏訪湖から天竜川へ流れて太平洋へ、塩尻に降った雨は、犀川、千曲川(信濃川)を経て日本海へ流れます。
車窓の山々が美しい甲信エリアの鉄道旅は、山と川の流れる向きを一緒に眺めていくと、ちょっぴり知的好奇心がかき立てられて、より一層、旅情が増すことでしょう。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/