【ライター望月の駅弁膝栗毛】
かつては高崎から長野、直江津を経由して、新潟を結んでいた「信越本線」。
いまは北陸新幹線の開業で、高崎~横川間がJR(高崎支社)、横川~軽井沢間はバス(JRバス関東)、軽井沢~篠ノ井間がしなの鉄道、篠ノ井~長野間はJR(長野支社)、長野~妙高高原間はしなの鉄道(北しなの線)、妙高高原~直江津間はえちごトキめき鉄道(妙高はねうまライン)、直江津~新潟間がJR(新潟支社)に分かれています。
信越本線・高崎~横川間が開業したのは、明治18(1885)年10月15日のこと。
これに合わせて、横川駅には「おにぎり」の駅弁が誕生したと云われており、全国有数の歴史を誇るのが、峠の釜めしでおなじみ「荻野屋」の駅弁です。
「おぎのや」も「駅弁誕生135周年記念おにぎり弁当」(700円)を製造、高崎駅で販売中。
シンプルな笹の皮に包まれたおにぎりは、駅弁の原点を彷彿とさせます。
【おしながき】
・茶飯おにぎり
・白飯おにぎり
・鶏の照り焼き
・玉子焼き
・煮物(筍、椎茸)
・たくあん
・杏の甘露煮
・栗きんとん
おにぎり2個、たくあん2切れから始まったとされる「駅弁」。
この原点を白飯の塩おにぎりに加え、おこげのついた茶飯おにぎりの組み合わせで再現。
「荻野屋」によると、茶飯は峠の釜めしと同じ材料、炊き方なのだそう。
さらに鶏の照り焼きや玉子焼きなどのおかず、杏や栗きんとんなどのデザートも加えて、令和の時代にふさわしい「おにぎり」に進化させています。
笹の香りを感じてご飯を噛みしめれば、美味しさと共に歴史の重みも感じられるでしょう。
平成9(1997)年まで、在来線特急「あさま」号は、EF63形電気機関車の補助を受けて、横川~軽井沢間を下り列車17分、上り列車24分で結んでいました。
北陸新幹線は現在、高崎~軽井沢間を上り・下りともに約15分で駆け抜けて行きます。
汽車、電車、新幹線と移り変わってきた鉄道の進化と共に、横川駅弁の進化もじっくりと感じたい峠越えの鉄道旅です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/