東京都医師会代議員会副議長で「きくの耳鼻咽喉科クリニック」院長の市川菊乃氏が2月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。鼻の粘膜の大切さについて解説した。
新行)今回は、耳鼻咽喉科の専門医として今一番重要なことについて教えていただこうと思います。“鼻の粘膜を大切に”というテーマですが、私はこれまで、あまり鼻の粘膜を意識したことがなかったのですけれども、これはどういったことなのでしょうか?
市川)一番身近に思うことですが、お口のなかというのは濡れていますよね。お口のなかと同じように、お鼻のなかも濡れているのが正常なのです。粘膜の構造が複雑なのですが、お鼻というのは、加湿をしながら空気を吸えるような構造になっているのです。ですので、お口と同じで、お口やお鼻、目もそうですが、粘膜というのは濡れていて初めて正常なわけです。お口のなかの水分は、唾液ですよね?鼻のなかは、鼻水なのです。だから鼻水が出ないという状態は、普通ではない。鼻の粘膜を濡らす程度の鼻水は、分泌されているのです。それが過剰になると病気になる。赤ちゃんは、鼻水がすごく出ますよね?
新行)そうですね。
市川)そういったことは(赤ちゃんの場合は)正常なのですが、鼻水が出すぎるという状態は、やはり異常ということになるのです。喉のイガイガ虫を、咳をして外に出すことと同じです。お鼻も喉も、器官までは上気道と言われているのですが、上気道の器官のほうには、イガイガ虫を外に出せるよう上へ上がってくるための、小さな毛が生えているのです。お鼻のなかには、後ろにごみを送るための細かい毛が生えているのです。お鼻も喉も両方とも最終的に、お口の中に雑菌やいろいろなゴミが出てくるのですが、それを吐き出すか、もしくは飲んでしまって胃酸で菌を殺すなど、そういったように構造ができているのです。
新行)そうなのですね。
市川)ゴミを後ろに送ろうとする機能がやられてしまうと、お鼻の中に細菌などが停滞するので、青っ鼻になって感染を起こしたり、鼻の粘膜が赤くなってきたりということになるのです。
新行)お鼻を良い状態に保つには、普段どういったことに注意すればいいでしょうか?
市川)湿度ですね。鼻というのはやはり濡れているので、乾燥した空気の中に入ったらどんどん乾燥してしまいます。やはり適度に湿度がなければいけない。冬はすごく乾燥しているので、加湿器を使いますよね? 夏はクーラーを使いますが、本当はあまり良くないのです。クーラーでドライにして、空気をサラサラさせますよね。ああいったことは、あまりお鼻には良くないですね。いまはこのご時世というのと季節柄もあり、皆さんマスクをしていますよね。マスクをした状態で息を吐くと、マスクの中に蒸気が残り、次に息をしたときにその蒸気も入ってくるため、湿度的に言うと、マスクをしたほうがお鼻にはいいのです。
新行)そうなのですか。
市川)花粉症の方にとっては、花粉を避けるだけでなく湿度も上げることになるので、このマスクというものは、そういった意味でもいいのです。正しくマスクを付けていただくと、きちんとした効果が得られると思います。
新行)そうなのですね。あとは、鼻のかみ方についても伺います。勢い良く鼻をかんでしまう方が多いかなと思いますが、どうでしょうか?
市川)鼻をかんでぐいぐい擦る方がいますよね。勢い良く鼻をかむところまでは百歩譲っても、粘膜を擦ってしまうのは良くないです。そうすると花粉症のように過敏になり、ひどくなります。私はティッシュを鼻の穴のとこに当てて、軽くかむだけで我慢しますね。シャワーを浴びるなどして湿度が上がると、鼻のなかからゴミが出てくることがありますよね。ですので、シャワーを浴びているときは強くかむことがありますが、普段は粘膜を触らないようにしています。
新行)穏やかに鼻をかんだほうがいいのですね。
市川)上品にかんでいただきたいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます