味覚障害の原因はコロナとは限らない……見直すべき食生活の問題
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東京都医師会代議員会副議長で「きくの耳鼻咽喉科クリニック」院長の市川菊乃氏が2月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。味覚障害の原因について解説した。
新行)今回は味覚障害についてお話を伺いたいと思います。前回お話いただいた嗅覚障害と同じように、味覚障害といってもすぐにコロナウイルスということではなく、いろいろな理由や原因というものがあるのですよね。
市川)そうですね。味覚味がわからないと感じるきっかけも、いろいろあると思うのですけれども、嗅覚と一緒で、味を感じるためのセンサーの部分が具合悪い場合、センサーは機能しているもののそれを感じ取る神経が悪い場合と、2つありますね。単純な話でいうと、やけどなど。やけどしたあとというのは、何を食べても味がよく分からないということがありますよね?
新行)口のなかがぴりっとしていて、何を食べても味を感じないですよね。
市川)体のなかにはいろいろな微量元素というものがあって、それで微妙にバランスとっているのですけれども、亜鉛というものが足りなくなることがあります。これは、ダイエットをしたり偏食をしたり、そういったことでも起こりますし、あとはお薬でも起こります。治療をしている病気の二次的に起こるなど、薬の副作用にも味覚異常というものはあるのです。味覚が鈍くなる原因というと、あと、年齢的なもので老眼と同じようなものがあります。やはり70歳を過ぎると、少し味覚も鈍くなってくるといったことがありますよね。
新行)「最近、おばあちゃんの料理の味が濃くなったかも……」というようなお話って、よく聞きますものね。
市川)それはやはり、味覚が少し鈍くなっているために味がわからず、どうしても濃くなっていくのかなと。あとは匂いと味というのは、お食事のときにはほとんど一緒に楽しんでいますので、焦げたことがわからないといった場合もありますよね。味覚障害も、嗅覚障害と同じようにいろいろな原因で起こるので、味がわからないからといってすぐにコロナと結びつけずに、変なダイエットをしていないかとか、食生活は大丈夫であるかとか、冷静に体のことを考えてほしいですね。
コロナによって皆さんが味覚嗅覚のことに関心を持つようになったということは、ちょっとだけ良かったことだとは思いますが、すぐにコロナだとは思わず、冷静に、自分の食生活などいろいろなものを反省して、チェックしていただきたいと思います。
新行)そういうことで考えると、自分の食生活をここでちゃんと見直しておくということも大切なんですね。
市川)亜鉛などは、ちゃんとバランス取って食事をしていたら足りなくなるわけがないんですよ。何にでもちょっと入っていますから。でもそれが足りなくなるって、相当バランス崩れてるってことですよね。あと、亜鉛っていうのはひどくなると皮膚もガサガサしてきますので。だから味が分からないのがメインになってるけど、いろんな意味でちゃんと働いている。とても少ない存在の微量元素というのは、体の中のそういうものなんです。だからそういうものも含めて、味が分からないことを反省してほしいですね。チェックしてほしいです。
あとは、歯に詰め物の金属がたくさん入っていると、金属って溶け出してるから電流が起こるんですよね。そうすると舌って、ちょっと表現しにくいけど特有のつるつるな形になってくるんですよ。だからそういう風に舌が荒れているときにはやっぱり歯並びでも違うでしょ?
新行)確かにそうですね。
市川)だからそれで、舌がザラザラしてるということをまず除けるということ。あと、口内炎などもそうです。口内炎は箇所が少ないのであまり味には関係ないですが、そういうことはやはり診てもらわないと分からない。ただコロナもそうですが、インフルエンザでも、かかった後に味が鈍くなったことが分からないのは、それはやはり多分神経がダメージを受けてるんだと思うのです。その度合いや、治るか治らないかは分かりませんが、神経がダメージを受けてるのは事実だと思います。
これは申し訳ないのですが、今の医学神経に関しては、切ったものを繋げてもなかなか治らないのと同じで、すごく消極的な治療しか今のところないと思います。
新行)まずは自分の生活習慣を見直して、あと口内環境もしっかり整えることが大切なんですね。
市川)そうですね。
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