コロナ対応でいま整備が求められている「下りの医療体制」とは? 東京都医師会・尾﨑会長

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月9日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスへの対応としていま求められている、「下りの医療体制」について解説した。

コロナ対応でいま整備が求められている「下りの医療体制」とは? 東京都医師会・尾﨑会長

飯田浩司アナウンサー)本日は「下りの医療体制」についてお伺いしたいのですが、「下りの医療体制」とはどのようなものでしょうか?

尾﨑)あまり聞き慣れない言葉だと思います。例えば、コロナの患者さんを発見して保健所に報告し、その方の重症度を診て入院していただくという、ここまでを「上り」とします。その後入院された患者さんは、ある程度落ち着いて感染力もなくなってきますが、体が弱っているなどの理由でまだまだ退院はできず、家に帰れない状態の方が出てきます。ですので、そういった方をどのようにして診ていくかということも、必要になってきます。発見から治療が終わるまでが「上り」、終わったら今度は下りという意味で、「下り」の医療体制という言葉を使うのです。

飯田)コロナ以外の普通の病気の場合は、発症したらまず急性期の病院に行ってそこで入院をしますよね。そこで回復した方たちは、リハビリをするために別の病院に移っていくという、そういった一連の流れがあると聞いたことがあります。コロナにおいても、そういう流れを作らなければならないということでしょうか?

尾﨑)そうですね。一般の病気ですと、当然リハビリが必要です。回復のためのリハビリをしている病院に受け入れてもらうのですが、その際、コロナの患者さんを受け入れるにあたって、本当にもう感染の恐れはないのでしょうかというお話が、どうしても職員やスタッフの間から出てきます。基本的に、症状がなくなって10日間過ごせば感染力はなくなりますが、そういったことが上手く伝わっておらず、もう一度PCR検査をしていただかないと受け入れられないなどの話が出てきて、受け入れ態勢が整っていませんでした。

通常の病気であれば、急性期を過ぎたら回復期の病院に行くという、その流れは作ってあるはずです。コロナについても、もう感染の恐れはないという認識を持っていただいて、なおかつ風評被害なども出る可能性はありますが、そういうことも理解していただきたいです。そして、なるべく回復のリハビリを行う民間病院に診ていただけるように、診療報酬も含めた制度の改正をお願いしたいです。

コロナ対応でいま整備が求められている「下りの医療体制」とは? 東京都医師会・尾﨑会長

飯田)リハビリを行う方々を診るにあたって人が足りなくなったり、あるいは報酬よりも多くのお金かかってしまったりなどもあると聞いたのですが、それが徐々に変わってきているということでしょうか?

尾﨑)そういったご指摘は、現場でもありました。受け入れると却って赤字になってしまうという現実もわかってきましたので、そういうことがないように、厚生労働省や日本医師会にお願いしています。受け入れたら必ずそれなりの報酬になるように、細かいところを調整してもらっているので、そういうところが上手くいけば、受け入れは整ってくると思います。

飯田)医療が逼迫しているなか、急性期の病床が埋まっていては大変だということで、そこにお金が集中していた部分もあると思いますが、それだけではなく、後ろに控える部分もきちんとケアしないと、全体として流れていかないということですね。

尾﨑)そういうことですね。

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