黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に「宮城漁師酒場 魚谷屋」店長の魚谷浩が出演。魚谷屋を支える団体、「フィッシャーマン・ジャパン」との関係について語った。
黒木)今週のゲストは東京・中野にある「宮城漁師酒場 魚谷屋」店長の魚谷浩さんです。宮城県から直送される海産物を提供する魚谷屋ですが、その運営を支えているのが「フィッシャーマン・ジャパン」という団体なのですよね。
魚谷)フィッシャーマン・ジャパンという団体は宮城の若手漁師さんが中心になって活動している団体です。東日本大震災をきっかけに芽生えていた「未来に正しい漁業を残すモデル」をつくりたいという意思でできたものです。若手漁師と言っても、決して10代~20代だけではなく、新しくなる漁業を残すことのできる人たちの集まりなのです。私と同世代の30代や40代の人がメインです。その人たちが将来にしっかりとした水産業の生業を継続して、そのあり方をいままでと違った角度で広げて行こうという目標がある人たちの集まりです。
黒木)魚谷さんのお店がその地元の方々のご協力があって成り立っているということもありますし、漁師さんたちにとっても嬉しいですし、とてもいいですよね。
魚谷)このフィッシャーマン・ジャパンという団体はいままでの漁業の見え方を、「かっこよく」、「稼げる」、「革新的な」というコンセプトを持ってやっている団体なので、普通とは違うことを仕掛けます。「水産業って角度を変えればすごくかっこいいじゃん」というような見え方ができると、漁師さんたちもいいし、魚もおいしくなる。そういうことを消費者の方から求めていただくと、もっと漁師さんたちが頑張れるのです。私は東京の飲食店で食べていただいた方に「なぜおいしいかというと、この漁師さんはこういう生きざまでこんな夢があるのですよ」と伝えます。それを伝えることでより素材に、そして地域に関心を持ってもらえるので、漁師さんにとっても、もちろん私にとっても、そういう接客をすることで達成感を得られるので、みんながハッピーになれる関係にあります。
黒木)さまざまな試みをされているではないですか。魚のさばき方など。
魚谷)これはコロナ禍で始めたサービスです。
黒木)絶対にどなたでもできると書いてあるのですが、本当ですか?
魚谷)お魚さばき教室を実施することになったのは、コロナ禍で家で過ごす時間が多くなったので少しでも魚に触れていただきたい、また魚料理はそんなにハードルが高くないんですよということをお伝えしたかったので、フィッシャーマン・ジャパンという団体が発送するお魚をご自宅に届けて、私が東京からオンラインで「お魚のさばき方を教えます」という企画をやりました。
黒木)素人でもさばけるのですね?
魚谷)まずは基本を覚えてしまえば、あとは慣れと応用です。まずは基本のさばき方と魚の扱い方を知っていただく。皆さんが無意識にやっていることで間違えていることもたくさんあります。例えば大きい魚であれば尻尾を持って写真を撮りたくなるではないですか。活きのいいうちはいいのですが、絞めてから時間が経った魚を持つと重力で身が離れてしまいます。そうすると、食べるときの食感がホロホロして崩れてしまいます。魚はデリケートに扱わなくてはならないのですが、魚の料理の幅は無限にあるので、各ご家庭に応じた調理に変えていただけると思います。
黒木)私はもちろんさばけませんが、3枚におろしたブリに皮がついていて、この皮を自分で取らなければいけなかったのです。ものすごく大変ですよね。
魚谷)皮の引き方というのですが、皮を取る方法はあります。慣れてしまえば難しくありません。包丁をうまく使えば簡単に引けます。
黒木)そうなのですね! 魚谷さんのYouTubeを見なくてはなりませんね。
魚谷)ぜひご覧になってください、「魚谷チャンネル」です。
魚谷浩(うおたに・ひろし)/「宮城漁師酒場 魚谷屋」店長
■1979年・兵庫県神戸市生まれ。
■小さなころから料理に興味があり、幼少時から母親の手伝いでキッチンに立っていた。
■学生時代は香川県で過ごし、アルバイトをきっかけに飲食を仕事にして行こうと決意。以来、マネジメントも学びながら食の仕事に従事。
■2011年の独立を目標に10年間勤めていた飲食企業を退社。同時期に東日本大震災が起こり、独立を延期しボランティアに参加。
■震災復興で訪れた宮城の漁師町で多くの人々の気持ちと触れ合い、宮城の魅力を発信しながら宮城のみんなと一緒に元気になれる店を開こうと発起。
■2015年、地方のPRを兼ねた飲食店を開業するため東京に移住。
■2016年6月、これまでに出会った仲間とともに『宮城漁師酒場 魚谷屋』を開業。
■現在「宮城漁師酒場 魚谷屋」店主を務める。
<宮城漁師酒場 魚谷屋>
■東京都中野区に2016年開業。豪快さとスタイリッシュさを兼ね備えた漁師酒場。
■クラウドファンディングで支援を募集し、開店に至った。
■生産者の思いをダイレクトに伝える漁師直営の居酒屋で、グランドメニューがなく、その時期の最高に自信を持っておすすめできる食材だけを、漁師がプライドをかけて直送。毎月変わるメニューが人気。月に1度、漁師が来店し、漁師と語ることもできる。
<フィッシャーマン・ジャパン>
■「漁業をカッコよく」をコンセプトに集まった東北の若手漁師集団。一般社団法人。
■魚谷屋は、この一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンを母体とした株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングが運営。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳