咳や高熱以外にも注意が必要……知っておくべき肺炎の初期症状

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が2020年12月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。肺炎の原因や症状について解説した。

咳や高熱以外にも注意が必要……知っておくべき肺炎の初期症状

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

飯田浩司アナウンサー)肺炎という病名はよく聞きますが、はっきりとした症状を知らない方も多いと思います。肺炎は怖い病気なのでしょうか?

森田)1900年代前半では、日本人も肺炎で亡くなる方が多くいました。しかしその後、抗生物質の開発や普及とともに、肺炎の治療成績は急速に向上したのです。1980年ごろから肺炎はまた多くなって来て、一時期は日本人の死因の3位にあがるほどで、2019年の時点では5位になっています。日本人の死因の1位はがんですが、昨今はがん検診率が高まっています。また2位は心疾患ですが、これも生活習慣の改善で対策が可能なのです。おそらくこの先、肺炎は高齢化社会のなかでさらに増え、日本人の死因の上位になるのではないかと懸念しています。

飯田)そもそも肺炎というのは、どういった病気なのでしょうか?

森田)肺炎の原因となるのは、例えばウイルス、細菌、カビなどです。こういったものが肺のなかで増殖して、炎症を起こすのです。新型コロナウイルスでも肺炎になって中毒化するのはご存知だと思います。肺のなかには「肺胞」という、葡萄の房のようなものが無数にあります。肺胞のなかの空気から酸素を血液に取り込んで、血液中の不要な二酸化炭素を肺胞の空気に送っているのです。肺胞は無数にあって、空気が含まれているのですが、周りに細い血管があり、酸素と二酸化炭素の交換をしています。

その肺胞を含んだ肺が肺炎になった場合は、レントゲンの写真では白く写ります。炎症が生じているために白く見えるのです。完治すれば影がなくなることがほとんどです。まれに石灰化といって、石のようなものが残ることもありますが、大体は影がなくなることが多いです。症状は皆さんもご想像がつくと思いますが、激しい咳が続く、痰に膿のようなものが混ざる、38度以上の高熱が出るなど、典型的な症状があります。また、少し動くと息が切れる、呼吸が苦しくて眠れないときなどは、危険があるので医療機関に相談したほうがいいですね。

咳や高熱以外にも注意が必要……知っておくべき肺炎の初期症状

飯田浩司アナウンサー、森田豊氏、新行市佳アナウンサー

新行市佳アナウンサー)症状を聞いていると、風邪と似ているようにも思えますね。

森田)激しい咳や高熱などは、風邪などでも出ることはありますね。ただ患者さんによっては、風邪だと思い込んで風邪薬などをずっと飲んでいて、あるときに医療機関に相談して受診したら、かなり進んだ肺炎だったということもあります。そのため、初期症状に気づいていただきたいと思います。強調しておきたいのが、最初の症状に「労作時呼吸困難」といって、イメージとしては動いたときに呼吸困難になるというものがあります。早歩きしたり、階段を上るときなどに息が切れるような症状で、肺炎になったとわかることが多いのです。

飯田)高熱を伴わない場合もあるのですね。

森田)そうですね。特に年配の方は、あまり症状が出ないことがあります。

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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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