東京都医師会理事で「大橋眼科クリニック」院長の島﨑美奈子氏が1月26日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。電話医療通訳とやさしい日本語を用いた、外国人医療対策について解説した。
新行市佳アナウンサー)電話通訳を利用して、外国の方になるべく母国語で理解してもらおうという試みが始まっているとお聞きしました。母国語で理解してもらうためにも、医療通訳はとても大切なのですね。
島﨑)そうですね。私のクリニックにも、それほど多くはないですが、外国人の方が通院されています。何ヵ国か利用させていただいたのですが、患者さんからの評判はたいへんいいです。医療通訳を使う場面は診察室だけではなく、まず患者さんがクリニックにいらっしゃると、受付から対応が始まります。受付での対応、検査での看護師さんや検査員とのやり取り、最後にお会計や投薬の説明など、それら全てに電話医療通訳で対応してくれますので、とても助かっています。一度使っていただくと、医療機関の先生方もハードルが低くなって、ご利用が増えるのではないかと思っています。
新行)一方で、一部の自治体や観光地では、やさしい日本語を使うという取り組みもあるそうですが、こういったことは医療現場でも実際に起こっていますか?
島﨑)やさしい日本語というのは、もともとは阪神淡路大震災の際に、日本語に不慣れな外国人の方の支援のため、わかりやすい日本語を使って情報を提供したことから普及しました。相手に合わせて、わかりやすく伝える日本語という意味です。ただでさえ不安を抱えている患者さんにとって、言葉の障壁はさらに負担を感じることだと思います。その負担をできるだけ軽くして行きたい、というところから広がっています。
例えば、「酸素飽和度を知りたいので、血液中の酸素量を測定します」という言葉。これは日本人が聞いても、なかなか理解できないですよね。これを簡単に表現すると、「体の酸素を測ります」となります。
新行)外国の方はもちろんなのですが、ご高齢の方やお子さんたちとコミュニケーションを取るときも、わかりやすい言葉を使うことは大切ですよね。
島﨑)そうですね。もともと医療機関の先生方や看護師さんは、こういったやさしい日本語を使いながら患者さんに対応しています。それを外国人の方にも広めて行くという動きが出て来ているのです。
新行)外国の方に新型コロナウイルス対策について知ってもらうことも大切だと思いますが、そういった情報はどのように伝えているのでしょうか?
島﨑)東京都では、「東京都外国人新型コロナ生活相談センター(TOCOS)」を開設しています。14の言語で電話相談ができるようになっています。もし外国人の方でお困りの方がいらっしゃったら、ここのホームページを教えてあげてください。そこにやさしい日本語で相談先が書いてあります。
新行)いまホームページを見ているのですが、漢字にはしっかりとふりがなが振られていて、読みやすくなっていますね。
島﨑)わかりやすいですよね。
新行)「東京都外国人新型コロナ生活相談センター(TOCOS)」のご案内もホームページに書かれています。相談できる日は月曜日~金曜日で、土日・祝日はお休みです。相談できる時間帯は午前10時~午後5時。電話番号は、0120-296-004です。お金はかからないということです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます