訪日外国人の医療費はどのように担保されるのか……支払いに関する問題を医師が解説

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東京都医師会理事で「大橋眼科クリニック」院長の島﨑美奈子氏が1月27日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。訪日外国人の医療の問題点について解説した。

訪日外国人の医療費はどのように担保されるのか……支払いに関する問題を医師が解説

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

新行市佳アナウンサー)訪日外国人の方への医療は、具体的にどのような支払い方法なのでしょうか?

島﨑)訪日外国人の方が加入する旅行保険だと、担保する範囲はその国やその方個人でさまざまです。医療保険が担保されているので、その方が受診したときには、補償内容についての確認がその都度必要になります。例えば医療機関では、受付で最初に補償内容を確認した上で、支払い方法をさらに確認します。患者さんも、ご自身の入っている医療保険がどこまで担保できるのか、あまりご存知ない方も多いので、その確認に非常に手間がかかります。一般的には受診された際、患者さんに全額医療費をお支払いいただいて、そのあとで保険会社が患者さん個人に補償するというケースが多いですね。

新行)外国の方はクレジットカードなど、キャッシュレスで買い物される場合も多いと思います。しかし医療現場や病院では、クレジットカードが使えないところも多いと思うのですが、その点はいかがでしょうか?

島﨑)内閣府の未来投資戦略を発端に、2027年までに全ての業種のキャッシュレス決済比率を40%にまで引き上げる提言がなされており、医療界も積極的に推進に向けて努力しています。しかし、公的な病院や大学病院ではすでにキャッシュレス化が推進されていますが、小さな診療所などはなかなか取り組みが難しい状況です。

新行)島﨑さんのクリニックでは、すでにキャッシュレスを導入されていらっしゃるのでしょうか?

島﨑)医療機関ではキャッシュカードの手数料が問題になりますが、できるだけ患者さんのニーズに応えるよう、当院ではキャッシュレス化に取り組んでいます。

新行)実際にキャッシュレス化に取り組んでみて、反響はありましたか?

島﨑)特にコロナ禍においては、皆さん現金でのお支払いに抵抗はありませんか?

新行)確かに、そういう方もいらっしゃいますよね。

島﨑)例えば、いまはコンビニでも、現金でお支払いされる方は少なくなって来ています。やはり医療機関でも、同じようにキャッシュレス化に取り組んで行かなければなりません。コロナの感染予防という意味でも、重要になって来ていると思います。

訪日外国人の医療費はどのように担保されるのか……支払いに関する問題を医師が解説

新行市佳アナウンサー、島﨑美奈子氏

新行)ちなみに、ダイヤモンド・プリンセス号での外国人の乗客の診察、医療費などはどのようにしていたのですか?

島﨑)国内の医療機関に入院したダイヤモンド・プリンセス関連の外国人患者さんは、340人ほどいらっしゃったそうです。その医療費を計算したところ、2億7000万円に及びました。新型コロナウイルスは指定感染症のため、保険診療の医療費は日本人だけでなく、訪日外国人の方も原則公費で賄うことになっています。今後、訪日外国人が増加する場合も考えますと、どこまで感染症を公費で賄うのか、検討が必要になりそうです。目安としては、新型コロナウイルス感染症にも対応する海外医療保険に、皆さん加入していただいて、その保険で医療費を担保できるように感染症法の解釈を変えて行く必要もあるかも知れません。

新行)事前に海外医療保険に加入していただいた上で、日本に来ていただく。そういった形に義務付けることも必要になって来るのでしょうか?

島﨑)そうですね。そういう提言もなされています。

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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