東京都医師会理事で「名和医院」院長の内科医・弘瀨知江子氏が5月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。小学校、中学校、高校で行われている、がん教育の内容について解説した。
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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター
飯田浩司アナウンサー)がんについての教育は、小学校では令和2年度から全面実施ということで、すでに始まっています。中学校は今年(2021年)から必修化、高校では来年度から必修化です。小中高で教える内容は少しずつ変わるというお話ですが、どういったところが変わりますか?
弘瀨)基本的に、あまり大きな変化はありません。がんについて正しく理解してもらうことや、がんとはどういう病気なのか、がん患者の方はどの程度いるのか、がんにかかるとどうなるのかなど、基本的な知識として教えます。中学生になると、実際にがん患者さんのお話を聞くような時間も増えます。高校生では、がん患者の方と共存して行く社会について、どのように考えるかなどを組み込んだ授業を行います。
飯田)なるほど。実は私の子どもも、4月に小学校1年生になったばかりなので、これからいろいろ学んで行くのだろうと思います。小学校は、特に高学年が対象だというお話がありましたが、どのように教えて行きますか?
弘瀨)私は実際に、いま小学校6年生のお子さんたちに教えております。スライドを利用して、がんとはどういうものなのか、がんになった方とそうでない方たちで、外見などがどのように違っているのかということも教えています。
飯田)がんではない方とがん患者の方の、対照写真のようなものを並べるのでしょうか?
弘瀨)そうですね。双子の方がいて、「どちらが喫煙している方ですか?」という話をすると、子どもたちは「なぜこういった違いが出て来るのだろう」と考えます。喫煙などは特にそうですが、がんになると皮膚が乾燥してしまったり、シワが多くなって来たりと、本当に年をとられたようになる場合があります。見た目がやせて来ますし、そういった変化も生じます。実際のスライドを見せることによって、その怖さも覚えてもらいたいのです。
飯田)「がんになるとこういう変化があるよ」「この2人は、実は同じ年の双子で……」と教えてあげるのですね。それほど如実に違いが出るものなのですか?
弘瀨)そうですね。
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弘瀨知江子氏、飯田浩司アナウンサー
飯田)喫煙の話もありましたけれども、子どもたちが将来大人になったとき、吸うか吸わないかの選択で思い出して欲しいというのは、もちろん狙いとしてあると思います。しかし子どもによっては、すでに副流煙を家庭のなかで経験している子もいますよね?
弘瀨)多いですね。授業を聞いてもらうことで、できれば家に帰って「こういう話を聞いたよ」「命が大切なのだから、煙草はやめて欲しい」というように、親御さんたちに声掛けをしていただければいいと思っています。
飯田)なるほど。子どもに言われると胸に来ますよね。そういう波及効果のようなものも表れて来ますか?
弘瀨)そうですね。