東海道の伝統駅弁「鯛めし」食べくらべ旅
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
日本の大動脈・東海道。明治時代からの歴史を誇る東海道本線沿線の駅弁業者では、いまも多くの駅で「鯛めし」という名前の駅弁が販売されています。しかも、この鯛めしは、鯛のほぐし身ではなく、茶飯の上に甘く味つけされた鯛のおぼろ(そぼろ)が載っている、独特の味わいのもの。この鯛めしのルーツを辿りながら、各駅の鯛めし駅弁を、じっくりと食べ比べていきたいと思います。
東海道「鯛めし」紀行・崎陽軒編(第1回/全5回)
高松と出雲市を前夜に発ってきた寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」号が、朝日を浴びて、終着・東京へ向けラストスパートに入っています。朝の東海道を颯爽と駆けていく様子は、身の引き締まった鯛がたくさん獲れる瀬戸内の潮風を一緒に運んできたかのよう。しかも、長距離の運行ながら、時刻通りにやって来るのも日本の鉄道の素晴らしさ。定時運行はさまざまな方の尽力あってこそですが、やっぱり、夜行列車にはロマンがありますね。
新幹線が開業する前、この東海道本線を多くの特急・急行列車が走っていた時代から、沿線の駅弁屋さんで作られてきた名物駅弁と言えば、「鯛めし」です。5回シリーズで東海道沿線の「鯛めし」に注目していく1回目、今回は、横浜駅弁「崎陽軒」が製造している「鯛めし弁当」(740円)をご紹介します。崎陽軒の鯛めし弁当は、昭和初期以降、販売されており、現在は神奈川地区の一部店舗で販売されています。
【おしながき】
・金目鯛入り茶飯 鯛そぼろ
・昔ながらのシウマイ
・きんぴら蓮根
・海藻とちりめんじゃこの酢の物
・カニつみれ煮
・胡麻和えこんにゃく煮
・人参煮
・玉子焼き
・桜つぼ漬け
崎陽軒の鯛めし弁当は、鯛を模した容器に入っているのが大きな特徴。時代に合わせて、リニューアルを繰り返しながら、現在の形になったのは平成23(2011)年からだと言います。崎陽軒によると、鯛めし弁当へのこだわりは、見た目の楽しさ、鯛めしとおかずの調和がポイントとのこと。金目鯛が入った茶飯と甘めの鯛そぼろのバランスはもちろん、昔ながらのシウマイを含めたおかずも、たくさんいただくことができるのが嬉しいですね!
今年(2021年)の春から全ての特急「踊り子」「湘南」として活躍しているE257系電車が、横浜の郊外を下って行きます。崎陽軒の鯛めし弁当は、鯛の形をした容器を上手く使い、鯛めしと合わせて、多くの種類のおかずを少しずついただくことができる作りが特徴です。しかも456kcalに抑えられてヘルシー感もあり、箱根・伊豆方面への温泉旅のスタートにピッタリの存在です。さあ、これからは金目鯛の本場へ踏み込んでいきますよ!
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/