東京都医師会災害医療研修部会部会長で「平成立石病院」副院長の大桃丈知氏が6月29日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。大規模クラスターからの学びについて解説した。
飯田浩司アナウンサー)勤務されている平成立石病院は、今年(2021年)に入って新型コロナウイルスの大規模なクラスターが発生したということですが、それは、コロナ病棟から発生したものではありません。クラスターが発生した他の病院の方々にお話を伺ったことがありますが、皆さん一様におっしゃるのは「コロナ病棟、発熱外来からではない形で入って来ることが多い」ということで、平成立石病院もそうであった。そうすると、他の形で病院に来られた方から発生するという状況だったわけですか?
大桃)そうですね。今回、このような形で当院もクラスターを起こしてしまいましたので、罹患なさった方々を含め、大変多くの方々にご迷惑を、そしてご心配をおかけしてしまったことを、この場を借りて深くお詫び申し上げたいと思います。発熱患者の方のなかには当然、新型コロナウイルスに罹患された方もいらっしゃるわけですが、救急車で運ばれる方、あるいは歩いていらっしゃる方のなかで、その方を原因として発生したクラスターは未だに経験しておりません。
飯田)発熱の疑いがある方を管理しているなかでも、こうしてクラスターは起きると。いろいろな学びがありましたか?
大桃)クラスターが発生しないように、我々も厳しく対策しておりますし、ワクチン接種が進んだことで、東京以外でも大規模なクラスターは減少傾向にあります。いちばんの学びは、入院患者の方で1人の陽性者がいらっしゃった場合は、すでに複数名の方に感染が拡がっていることを考えて、対策を早期に講じること、これに尽きると思います。そして、いままで経験したことのないような新型コロナウイルス感染症によって、院内で複数名の方が発熱を起こすというのは、医療従事者も含めて皆さん動揺なさいますし、指揮命令系統が大変な混乱を起こしてしまいます。そうならないためにも、早い段階から、きちんとした災害対策モードに入ることが必要です。
飯田)早い段階からの災害対策モードが。
大桃)我々の病院は災害拠点病院ですので、何かがあった場合には臨時の指揮所を立てて、指揮命令系統を確立した上での対応を普段から行っています。今回もその仕組みを発動させて、何とか拡大を防ぎ、まん延防止に尽力し、収束を迎えることができました。
飯田)平時の意思決定とは異なると考えれば、自衛隊などでも、災害対応は「段取り8割、準備8割」という言葉を使うと思うのですが、普段から準備しておかないと、スムーズには行かないということでしょうか?
大桃)もちろんです。私も予備自衛官ですので、自衛隊で訓練をしますが、「訓練は実戦の如く、実戦は訓練の如く」と言います。普段からトレーニングをしていることが、今回の新型コロナウイルスの対策で実践されました。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます