東京都医師会災害医療研修部会部会長で「平成立石病院」副院長の大桃丈知氏が7月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。東京2020オリンピック・パラリンピックへの東京都医師会としての対応について解説した。
コロナ前とコロナ後では発熱者に対するマネジメントが大きく変わった
飯田浩司アナウンサー)7月23日、東京2020オリンピック・パラリンピックがいよいよ開幕します。改めて、東京都医師会としては、医療面でどのような役割を担っているのでしょうか?
大桃)東京都医師会は観客の方々に対して、競技場のなかにつくった医療救護所のなかで、観客の方々に対する不測の事態に備え、医療を提供させていただくということで何チームか出場が決まっています。
飯田)当初、オリンピックの話をすると、「熱中症が心配だ」というところから始まりましたが、そこに新型コロナウイルスが来ました。対応は変わるのでしょうか?
大桃)大きく変わります。「熱が出ているとコロナかも知れない」というのが医療のなかでは常識になってしまっていて、コロナが疑われた場合には、他に感染が伝播する可能性があるため隔離しなくてはいけないということになります。コロナ前とコロナ後では、発熱者に対するマネジメントが大きく変わってしまいました。
選手たちは大学病院系列の医療チームが担当
飯田)選手たちの対応については、医師会ではないような形ですか?
大桃)実際のフィールドのなかに関しては、大学病院系列の先生方が、大学病院のなかできちんとした医療チームをつくって対応するということが、2019年の段階で決められていました。
医療従事者としての第1優先はワクチン接種を進めること
新行市佳アナウンサー)通常診療と、最近では新型コロナのワクチン接種などで、地区の医師会の先生の皆さんはお忙しいところがあると思うのですが、そういうところはどのようにレギュレーションを組んで行くのでしょうか?
大桃)それも非常に難しい問題です。我々医療従事者がいまいちばんやらなくてはいけないのは、集団免疫の獲得に向けて、ワクチン接種をとにかく1日でも早く、1人でも多くの国民の方々にお届けするということです。それが第1優先順位になると思います。当然、通常の診療体制を維持しておくこと、これも非常に優先順位が高いミッションだと思います。その次に来るのが、今回のオリンピック・パラリンピックの医療救護と、医療救護への協力になると考えています。
無観客から観客が入るまでの3段階を予測して連携体制を取りながら進める
飯田)観客をどうするかというところもありますが。
大桃)無観客が望ましいと思っておりますが、観客を入れるということになれば、無観客が「プランA」とすると、ある程度の観客が入るのを「プランB」、観客がさらに増えることを「プランC」とする。医療というのは常に先読みをして、最悪のことを考えながら対応手段を講じます。それは我々が普段からやっていることですので、「プランB」や「プランC」に関しても、いろいろと連携体制を取りながら進めておくべきだと感じております。
飯田)決める側もプランがたくさんあるけれども、状況が変わればプランBで行っていたものを、プランAに戻すということも必要になるわけですね。
大桃)そうですね。変わって行く状況に対して即応できる体制を整えることが求められますし、やっておかなくてはいけないことだと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます