東京都医師会副会長 ~「原則自宅療養」は「医療機関で的確に判断せよ」というメッセージなのかも知れない

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東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が8月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。感染増加地域では「入院患者以外は原則自宅療養」という政府の決定について解説した。

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

いままでは保健所がすべて決めていた

飯田浩司アナウンサー)新型コロナ感染者の対応をめぐり、入院患者以外は自宅療養を原則とするということになり、新聞によっては「事実上の入院制限だ」という見出しを取るようなところもありました。医療ひっ迫を防ぐのが狙いであるとも説明されていますが、どう思われましたか?

猪口)本当はもう少し詳しい説明が必要なのではないかと思います。いままでは、新規陽性者の患者さんが判明したら保健所に届け入れをして、保健所が「2類感染症」ということで、療養する場所をすべて決めるのです。「あなたは入院ですよ」、「あなたは宿泊ですよ」、「自宅ですよ」ということを保健所がすべて決めます。

「入院をする必要がないではないか」という患者さんがいても医療機関は退院させられなかった

猪口)「入院してください」ということで病院に入院する。しかし、その病院で診察をすると、思いの外、軽いのではないかと。「入院には相当しないのではないか」ということがあるのです。また、中等症や重症であったとしても、「症状が発生してから10日間、そして症状軽快から72時間経った場合には、PCR検査をしなくても退院ができる」、もしくは「PCR検査を2回やって陰性であれば退院してもよい」というルールがあるのですが、その前に元気になってしまうことがあるのです。そのように「入院をする必要がないではないか」という患者さんたち、もともと軽症の人、そして症状が改善した人、このような方を医療機関は退院させられなかったのです。

飯田)決まりだから10日間はいなければいけませんよ、ということですね。

猪口)退院させるにしても、「自宅療養」という、「療養場所を変える」という考え方なのです。そうすると、保健所が決めたままの状態から動かないでいるので、入院されている方たちは厳格に症状によって決められるということではないのです。

飯田)なるほど。症状によって柔軟に決まるのではなく、外形的なところで「バチッ」と決まってしまっている。

猪口正孝氏、飯田浩司アナウンサー

保健所によって決められてしまい、本当に入院の必要のある人が入院できない場合があった

猪口)東京都医師会の方でも、そのようなことについて、ベッドを無駄遣いしているというか、他に入院させたい方がいる場合にもったいないなと感じることがありました。それを防ぐために、おそらく重症者と重症化リスクのある方たちに入院を限定するということになったのだろうと思います。我々としては、それに従って、「医療機関が考えなさい」というメッセージであったと思うのです。それに対して、「中等症は入院させない」というような議論では本来はなかったのかも知れません。私は詳しいことは知らないのですが、タイミングとしては同時に出て来た話なので、「医療機関がもっと的確に考えなさい」というメッセージのような気もします。しかし、医療機関側にしてみれば、あのようにキッパリと重症者や重症化リスクの高い人に絞り込むということは難しいと思います。

飯田)クッキリとした線引きのようなものはないのだと。

「医療機関で的確に判断せよ」というメッセージか~その真意が現場に伝わらず混乱

猪口)文字面ではクッキリとしているのですが、「それぞれの医療機関でよく判断して考えてくださいよ」という背景もあったのかも知れません。

飯田)そのようなクリアカットな線引きではなく、裁量を現場に渡して、現場の先生に最適な判断をしてもらいたいということが根本にはあった。

猪口)あったのだとは思いますが、それが伝わって来ないような感じがします。今回のコロナで「リスクコミュニケーション」ということがよく言われますけれども、その意味では、我々現場も混乱しましたが、深く考えてみると、そのタイミングだったかなと思わないこともないですね。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます


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