「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
年々激しくなる産地間のブランド米競争。毎年のように各都道府県から新しいブランドの米が登場しています。秋田県が令和4(2022)年の本格デビューを目指しているのが、「サキホコレ」。それに先駆けてこの秋、秋田駅弁・関根屋から数量限定でサキホコレを使った新作駅弁が登場しました。果たして「サキホコレ」は、駅弁の要、「冷めても美味しい」を満たす米なのか? 駅弁業者さんに伺いました。
11月26日、秋田市から初雪の便りが伝えられました。いよいよ秋田新幹線「こまち」号も雪景色のなかを走る季節に入ります。真っ白な雪と真っ赤な新幹線とのコントラストが、一層美しい時期ですね。外観の赤に対して、普通車のシートは豊かに実った稲穂をイメージさせる黄色。通路は畦道に見立てたと言います。「こまち」の愛称も相まって、自然と米どころ・秋田を思い起こさせられるものです。
(参考)JR東日本ホームページ
長年、「あきたこまち」を主力としてきた秋田のお米ですが、近年、全国各地で新たなブランド米が開発されたことを受けて、県を挙げて新たなブランド米の開発に取り組みました。その名も「サキホコレ」。令和4(2022)年秋の本格デビューを予定している最上級米です。これに先駆けて2021年秋、数量限定で先行販売された「サキホコレ」を主役に据えた「サキホコレ弁当」(1250円)が、11月13日、秋田駅弁・関根屋から発売されました。
(参考)秋田県ホームページ
【おしながき】
・サキホコレの白飯 梅干し
・秋田県産黒毛和牛煮 秋田県産シイタケ・千切り筍入り
・秋田比内地鶏のミニメンチ串
・玉子焼き
・人参煮 アスパラ添え(すきやき風の味付け・隠し味に赤ワイン使用)
・漬物(いぶりがっこ盛り合わせ/大根・人参)
・秋田県産椎茸煮
・秋田県産とんぶり入りのかまぼこ
・こごみ胡麻和え
「サキホコレ」のロゴが大きく書かれた掛け紙とふたを外すと、センターに「サキホコレ」! まさにお米が主役の駅弁です。「コシヒカリを超える極良食味品種」をコンセプトに、食味にこだわって開発されたそうで、モチモチとした食感が楽しめます。関根屋によると最初、炊飯には試行錯誤があったそうですが、米の特徴をつかむと美味しく炊けるようになったとのこと。おかずにも、秋田牛や比内地鶏を使ったおかずからとんぶり入りの蒲鉾、こごみ、いぶりがっこと、秋田の食材がオールスターで勢ぞろい。新しいお米に賭ける意気込みが感じられます。残念ながら11月22日で販売予定個数に達したため今季の販売は終了。来年(2022年)の新米シーズンには、再び「サキホコレ」の弁当に出会えるかも(!?)ということでした。
雪が積もった田んぼのなかを、非電化区間でも、最新鋭のバッテリーで走ることができる男鹿線の電車が駆け抜けて行きます。米の品種改良同様、鉄道車両も改良が続きます。雪の多い地域では、雪が積もることで田んぼが「休める」ため、土の力が回復してお米が美味しくなると言います。暮らしには大変でも、美味しい米に雪はなくてはならない存在。この冬も大きな被害が出ない程度に、そこそこの雪がしっかりと降って欲しいものです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/