ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月24日放送)に元内閣官房副長官・慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長がオミクロン株感染拡大の警戒を呼び掛けた記者会見について解説した。
オミクロン株、分科会の尾身会長が警戒を呼び掛け
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が12月23日、記者会見を行った。
-----
-----
飯田)大阪や京都でオミクロン株の感染者が出て来ています。しかも渡航歴がなく、市中感染だということが大きく報じられています。
松井)尾身先生は警鐘を鳴らすという役割を担っているのだと思います。それはそれで大切なことです。しかし、オミクロン株が「どれくらいの脅威なのか」ということを、先行して感染が拡がっている国から知見を得て、冷静に対応するべきです。
飯田)先行している海外の国から。
松井)岸田さんは少し神経質になっておられる感じがします。菅さんのときの対応などを考えて、バランスを取っているのだと思いますが、バランス重視の首相で、何をされたいのか、まだ理解できないところがあります。
感染を抑えつつ、経済も回すというバランスが重要
松井)尾身先生はオリパラも基本的に「やるな」という意見でした。
飯田)そうでしたね。
松井)菅さんに対してずっと厳しいことを言い続けて来ましたけれど、政府がオリパラをやったことは、結果論だから何でも言えてしまうのですが、よかったのではないかと思います。
飯田)やったことは。
松井)尾身先生のことを崇拝して、センシティブに物事を捉えすぎても、世の中は回らないのではないかと思います。
飯田)そうですね。
松井)国民が尾身さんを信頼するのはわかりますが、政治家は経済を動かして行くことも考えなければならない。日本はただでさえ、「ガラパゴス」になっています。日本の将来を考えた場合、あまり人との交流や交易をなくしてしまい、鎖国状態になることは問題だと思います。
飯田)鎖国状態にしてしまうのは。
松井)バランスを取って、経済を動かすという判断をしてくださる方もいて欲しいですね。その上で岸田首相に得意のバランスを取ってもらう。
飯田)尾身さんは感染症の専門家としての知見であって、経済には経済の専門家がいて、それを全部合わせて政治が決断する。こういう局面では、何をやっても多分、批判されるのですよね。
経済を止めて自殺者が出てしまっては意味がない
松井)そうですね。前の経済再生・コロナ対策担当大臣だった西村康稔さんは、優秀な後輩ですが、あの人は尾身先生に引きずられてしまった感じがします。
飯田)尾身会長に。
松井)現在の経済再生担当である山際大臣はバランスが取れていると思います。ああいう人に、感染抑制と経済のバランスを取っていただきたい。経済を止めて自殺者が出てしまったら、意味がないですから。
飯田)自殺者が出てしまったら。
松井)感染を抑制して重症化させないのはとても大事なことなのですが、感染者数だけで一喜一憂せず、大事な医療をどう守るかということだと思います。そういう意味での、お医者様の意見はきちんと尊重すべきだと思います。
経済を見る人の役割も大事
飯田)いままでの区分けから変えて、「ステージ」から「レベル」という基準の変更は、感染者の数ではなく、「病床がどこまでひっ迫するか」をメインに据えるということがありました。
松井)尾身先生はわかっていて、まず警鐘を鳴らすのが自分の役割だということでおっしゃっているのだと思います。経済とのバランスを取ることが必要です。経済を見る人の役割も大事だと思います。それがいままでの日本政府には足りなかったのかも知れません。
飯田)そうですね。
松井)他方で、韓国のように「ウィズコロナ」ということで、感染拡大してしまう危険性もよく見ておかなければいけない。松野官房長官が「ただちに行動制限を変更することは考えていない」とおっしゃいましたが、落ち着いておられていいのではないかと思います。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。