新潟の郷土料理・鮭の焼漬を、より美味しく味わうひと手間とは?
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
2月13日まで新潟県内の駅弁屋さん7社が共同で開催している「越の駅弁7箇所巡り」。「駅弁御朱印帳」を片手に各駅弁屋さんの直売所を巡って、オリジナルのスタンプを集めていく取り組みです。新潟・新津・長岡・越後湯沢・直江津にあるチェックポイントを回って、コンプリートすると特別なスタンプも集めることができます。今回は、新津駅弁「三新軒」を訪ねました。
新潟「駅弁御朱印帳」の旅 ~新津駅弁・三新軒(第5回/全7回)
信越本線・羽越本線・磐越西線の各線が接続する交通の要衝・新津。会津若松から、約2時間半をかけてやって来たGV-E400系気動車の快速「あがの」号が、終着・新潟を目指します。「あがの」は昭和30年代から仙台~新潟間で運行された準急・急行列車にそのルーツがあります。近年は、新潟~会津若松間を毎日1往復する快速列車となっていましたが、今年(2022年)春のダイヤ改正で、残念ながら運転取りやめとなります。
(参考)JR東日本新潟支社ニュースリリース・2021年12月17日分
3軒ある新津駅の駅弁屋さんの2軒目は「三新軒」です。新津駅東口の右手に見える「三新軒ビル」が社屋となっています。この2階にある三新軒事務所がチェックポイント。駅弁の販売は9:00~14:00と少し短めですが、予約すれば16:00まで受け取り可能です。なお、予約なしでも14:00前までに訪問すれば、約15分で作っていただくこともできます。できれば、マイバッグ持参がお薦めです(電話:0250-22-1111)。
三新軒の“推し弁”は、「焼漬 鮭ほぐし弁当」(1130円)です。三新軒の名物として知られ、60年以上の歴史を誇る「鮭の焼漬弁当」。この鮭の焼漬をほぐし身とした、三新軒一番人気の駅弁です。スリーブ式の包装には、ごまが振りかけられたほぐし身の実写が印刷されています。裏面には、2014年の駅弁味の陣で、この駅弁が「郷土賞」を受賞したことと合わせて、駅弁の誕生秘話や美味しさの秘密といったエピソードも記されています。
さっそく、「焼漬 鮭ほぐし弁当」を購入して、 “駅弁御朱印帳”に三新軒のオリジナルスタンプを押印します。三新軒事務所の一角に、事実上のスタンプ台が用意されているので、落ち着いてインキをつけ、押印することができました。
スタンプのデザインは、まるで冬の日本海のように荒々しい、勢いのあるロゴで「三新軒」と書かれているのが目立ちます。横には、大きな「鮭」が2匹描かれていますね。
【おしながき】
・ご飯(新潟県産米)
・鮭の焼漬(ほぐし身) 錦糸玉子
・おくらと菊なめこの和え物
・舞茸の煮物
・赤かぶの酢漬け
・自家製鉄火豆
新潟の郷土料理・鮭の焼漬。三新軒が作る焼漬は長年、継ぎ足し、継ぎ足し守られている秘伝のたれに、焼き鮭をひと晩漬け込んで作られています。丁寧な手作業で身をやや大きめにほぐすことによって、ゴロゴロっとした食感が楽しめます。もともと、鮭を焼いてから、たれにつけるため、本来より身が縮んでしまうのが課題でした。身をほぐすことでボリューム感と食べ応えのアップに成功したのが、この駅弁というわけなんですね。
五泉市内を流れる阿賀野川の支流・早出川を最新のGV-E400系気動車が充当された磐越西線の普通列車が渡って行きます。秋になるとこの川にも、日本海からの鮭が遡上してくると言います。次回も新津の駅弁屋さんをピックアップ。駅弁大将軍にも選ばれた、あの名物駅弁が登場します。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/