復職支援としての「リワークプログラム」とは

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東京都医師会副会長で精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が1月19日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「リワークプログラム」について解説した。

復職支援としての「リワークプログラム」とは

※画像はイメージです

復職支援プログラムとしての「リワークプログラム」

飯田浩司アナウンサー)うつ病などで仕事を離れた人たちが再び仕事に戻れるように取り込む、「リワークプログラム」について教えていただきます。

平川)リワークというのは、「リターン・トゥ・ワーク」の略語で、うつなどのメンタル不調が原因で休職している人たちに、復職に向けたリハビリテーションを提供する、復職支援プログラムのことを指します。

飯田)対象はどのような方になりますか?

平川)そもそもうつ状態やうつ病の方の支援から始まりましたけれども、近年、うつも多様化しています。背景に発達障害やパーソナリティ障害の問題を抱えている方もおられるので、現在はより広い範囲のメンタル不調者が対象になっています。

復職しても再発することが多い

飯田)メンタル不調の方々、仕事を離れざるを得なくなった方々は、具体的にどのような症状が出るのですか?

平川)抑うつ気分や不安感、焦燥感、出社拒否の症状や自信喪失、意欲低下、さらには作業能力の低下や不眠など、さまざまな原因で会社に行けなくなってしまうわけです。うつ病のなかには難治性で再発を繰り返すものや、適応障害や発達障害の方も含まれますので、働くスキルやコミュニケーション能力などに難点のある方もいらっしゃいます。こういった方に対しては、従来の治療だけでは復職が難しく、復職しても再発してしまうことがしばしば起こります。

新行市佳アナウンサー)確かに休職をしていたら、いきなり働くことは少しハードルが高く感じられたりもしますよね。

平川)休職というのはダムの水を貯める作業ですから、なるべく動かずにリラックスして、気楽に生活をするという静養中心の生活です。ところが復職が決まった途端、決まった時間に起床し、通勤して1日仕事をするという生活に戻るのは、かなり大きなギャップがあります。休職中にはなかった負荷が突然かかって来るわけです。

復職支援としての「リワークプログラム」とは

新行市佳アナウンサー、平川博之氏、飯田浩司アナウンサー

リワークに参加することによって復職への負荷を軽減する

飯田)休職をしていた方の復職が決まり、「この日から行かなければならない」という予定が決まった瞬間に、それが気持ちの負荷になって症状が悪化することはあるのですか?

平川)あります。休職期限は決められていますから、期限が近づくと1ヵ月くらい前から徐々に落ち着きがなくなってしまい、不安感が高まって、また症状が悪くなってしまう方もいます。

飯田)その辺りの橋渡しとして、リワークというものがあるのですか?

平川)リワークに参加することで、休職という状態から復職に向けての負荷を軽減し、さらに働き続けて行くスキルを身に付けるということが大事です。それによって復職したあと、潰れずに続けることができるのです。

復帰への準備とともに、長く働き続けるためのセルフケアのスキルも身に付ける

新行)実際にリワークを利用されている方の再発率はいかがですか?

平川)専門機関の調査によりますと、やはりいい効果を与えているということです。心身に大きな負担がかかった場合でも、リワークのトレーニングでスキルが身に付くと、再発リスクが低くなるのです。

飯田)リワークのトレーニングによって。

平川)リワークではスムーズに復職できるように、休職のときから生活リズムを整えて、段階的に体と心を慣らして行きます。もっと言えば、リワークというのは休職中の生活から職場へ復帰するまでの準備をすると同時に、この先、長く働き続けるためのセルフケアのスキルも身に付けるということを狙っています。

その人に必要な期間のリワークをする

飯田)リワークの長さも人によって変わるということですか?

平川)長く休職できる会社もあれば、そうでない会社もありますので、一概には言えないのですけれども、リワークだけを考えれば、概ね3ヵ月~1年くらいだと思います。なかには短いものをやっているところもありますけれども、重要なのは、その方に必要な期間のリワークをするということです。はじめに期間ありきではありません。

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