冬場に循環器系の病気が多い理由
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「林医院」院長で杉並区医師会会長の稲葉貴子氏が2月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。循環器系の病気について解説した。
循環器内科とは
飯田浩司アナウンサー)先生が院長をされている林医院は、循環器科・内科・小児科の看板を掲げていらっしゃいます。循環器科と内科では、どういう違いがあるのですか?
稲葉)内科全体としては、手術をして病変を切り取るような病気ではなく、生活習慣の改善や、お薬を飲むような治療をメインとするのが内科。そして、特に心臓の症状について対応するのが循環器内科の仕事です。病気としては狭心症、心筋梗塞、不整脈などが大きなものだと思います。あとは血管の病気です。血管が細くなる、または逆に太くなってしまう。血圧が高くなると血管がパンパンになって、血管の壁の弱いところが膨らんでしまい、動脈瘤が発生するのですが、そういうものの管理をします。動脈瘤そのものは外科の先生が治療しますが、そういうことも含めて内科で見つけ、目安を立てて、外科の治療が必要であれば、外科の先生におつなぎします。
飯田)日々のメンテナンスやモニタリングが内科の仕事で、手術などは外科にお願いする。そのやり取りを続けて行くという感じですか?
稲葉)そんな感じだと思います。
冬場に多い循環器系の病気
飯田)循環器科、心臓の病気は、季節によって違いはありますか?
稲葉)循環器の病気は、血圧が上がることで悪くなる特徴があります。「高血圧の治療をしましょう」とよく言いますけれど、人間は興奮すると血圧が上がりますし、血管が収縮するわけですから、怒ったり慌てたりすると高くなります。それは人間の生理的な状態なので病気ではないのですけれど、血圧が過剰に高くなってしまったり、高いまま戻らなくなってしまう場合がある。それ自体が直ちにどうのこうのというわけではないですけれども、そういう時間が年単位で長く続きますと、血管にダメージが加わって、狭くなって詰まったり、太くなって動脈瘤が発生し、破れてしまうことがあります。こうなると完全に大ごとになってしまう。冬場は血圧が上がりやすい時期です。寒くて手足が冷たくなりますよね。ということは、手足の血管が縮んでいるということです。
飯田)なるほど。
稲葉)「縮んで体の大事なところを温めましょう、そのかわり手足は少し冷たくしますよ」と。人間の体の仕組みがそうなっているので、必然的に血圧も上がってしまう。だから冬は高血圧が多くなります。心臓の病気で倒れる方などもいます。急に寒いところに出たりすると、もともと血圧の高い方はより血圧が上がり、弱くなっていた血管から出血してしまうのです。脳梗塞は脳神経科などの病気なのですが、大きくくくれば、血管系は循環器という考え方です。一般的な循環器内科ですと、脳や腎臓など、血管の塊である臓器のことならば、ある程度は知見を持っています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます