「鳥の研究」を30年も続けることになった理由  鳥類学者・川上和人

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(3月21日放送)に森林総合研究所のチーム長で鳥類学者の川上和人が出演。鳥の研究をすることになった経緯について語った。

「鳥の研究」を30年も続けることになった理由  鳥類学者・川上和人

メグロ

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。3月21日(月)~3月25日(金)のゲストは森林総合研究所のチーム長で鳥類学者の川上和人。1日目は、鳥の研究に関わったきっかけと、研究の面白さについて---

黒木)もう30年近く鳥の研究をなさっているということなのですけれども。

川上)そうですね、ほとんど小笠原諸島で研究を続けているのですけれども、島の鳥の生態や進化、保全についての研究を続けています。

黒木)『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』という著書もあるのですよね。

川上)「鳥が好き」と言うと、普通は飼うのが好きとか、見るのが好きということだと思うのです。しかし、私の場合は、「鳥を研究することが好き」なのです。だから一般的な「鳥が好き」というのとは少し違います。

黒木)もともとは東京大学農学部の林学科にいらした。

川上)林学科です。

黒木)それで何かの研究をしようかというときに、教授の方が「小笠原諸島のメグロの研究をしたらどうか」とおっしゃったのが鳥との出会いですか?

川上)樋口広芳先生という方だったのですけれども、樋口先生が島の鳥の研究をされていて、それで小笠原の母島というところでメグロという鳥を研究されてから10年くらい経っていたのです。それで「10年ぶりに追跡調査をしないか」という話があって、それがきっかけで小笠原に行って鳥の研究を始めることになりました。

黒木)小笠原諸島は遠いですよね。

川上)いまの船でも片道24時間かかります。

黒木)24時間もかかるのですか。

川上)飛行機はいまないので、船でゆっくりと旅をすることになります。

黒木)最初に母島のメグロの鳥の卒論で小笠原の母島に行かれた。そのときはどのくらいの期間行かれたのですか?

川上)最初に行ったときは6ヵ月間、現地にいました。

黒木)半年間。

川上)6ヵ月間経って、大学院の試験を受けるために帰って来ました。1ヵ月ほど本州にいて、そのあとまた現地に入って3ヵ月~4ヵ月行きました。卒論のために10ヵ月くらいは島で過ごしていました。

「鳥の研究」を30年も続けることになった理由  鳥類学者・川上和人

メジロ

黒木)鳥が好きではないけれども、そのメグロという鳥をずっと追うわけですよね。

川上)現地へ行くまでメグロという鳥を見たことはありませんでした。メジロくらいの大きさで世界中に小笠原にしかいない独特な鳥なのです。自分にとっては初めての研究なので、まずは1年間を通してみっちりこの鳥のことを見ようと。この鳥のことはすべてわかるようになりたいなと思い、じっくりと現地にいることにしました。

黒木)その鳥をじっくり調査しているうちに、どのようなことが面白くなって来たのですか?

川上)メジロという本州にもよくいる鳥がいますが、メグロとメジロは似たような生活をしているのです。それが同じ場所にいるので、その2種類の関係がどうなっているのかというところから研究を始めたのですけれど、そのうちに、さまざまな島を見る機会ができました。

黒木)メグロとメジロ以外に。

川上)島がたくさんあるのですけれども、その島ごとにいる生物の種類が違って、「どうしてここにはこの鳥がいて、こっちにはいないのだろう」とか「なぜこの島にはこの植物があるのに、こっちにはないのだろう」ということがだんだんと気になって来るわけです。「どうしてこっちの島にはメグロがいないのかな」とか。

黒木)その生態系が面白くなって来るのですか?

川上)そうですね。メグロの一種類だけを最初は見ていたのですけれど、徐々にそれが広がって、メグロの食べるものはどういうものなのか、メグロに襲いかかる生物はどんな生物なのか。その森林がどうできているのかと、気になることが増えて行くのです。

黒木)気になることが。

川上)小笠原のなかでも、面白そうな興味深いことがたくさん見えて来ました。これまで30年弱ですけれども、次々と新しいテーマを見つけて研究を進めることになったのです。

 

「鳥の研究」を30年も続けることになった理由  鳥類学者・川上和人

川上和人

川上和人(かわかみ・かずと)/ 森林総合研究所 鳥類学者

■1973年生まれ。東京大学農学部林学科卒、同大学院農学生命科学研究科中退。
■国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所チーム長。
■NHK子ども科学電話相談室では「バード川上」先生としても知られる。
■小笠原諸島にすむ鳥類の進化と保全に関する研究が専門。特に無人島での研究が得意。
■1年のおよそ4分の1を小笠原諸島で過ごす。
■2015年に希少な海鳥「オガサワラヒメミズナギドリ」の生きた個体を小笠原諸島で
発見。世界で初めて営巣も確認した。
■図鑑なども多数監修を務め、著書に『鳥類学者・無謀にも恐竜を語る』、『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』、監修に『鳥になるのはどんな感じ?〜見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』など多数出版。

 

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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