小田原の老舗駅弁屋さんが、新作“湘南鶏”の駅弁に込めた思いとは?

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

湘南鶏 わっぱめし

画像を見る(全6枚) 湘南鶏 わっぱめし

ひとたび大河ドラマの舞台となると、しばしばゆかりの駅弁が生まれます。なかには、仙台の「独眼竜政宗弁当」や静岡の「大御所弁当」、金沢の「利家御膳」などのように、ロングセラーとなって、私たちの旅の1ページを彩る存在となっている駅弁もあります。その意味では、令和4(2022)年は神奈川・静岡エリアの駅弁が気になります。そこで、今年ならではのパッケージに包まれた新作に注目しました。

E257系電車・特急「踊り子」、東海道本線・早川~根府川間

E257系電車・特急「踊り子」、東海道本線・早川~根府川間

桜咲く石橋山古戦場跡をトンネルで貫いてきた、特急「踊り子」号が伊豆を目指します。石橋山合戦は、治承4(1180)年、源頼朝が挙兵したものの数に勝る平氏の前に惨敗し、真鶴から安房へ逃れた戦い。心機一転、再び立ち上がって平氏打倒を果たしたわけです。「踊り子」もグリーンストライプの車両から、伊豆らしいペニンシュラブルーの車両に入れ替わって1年あまり。こちらもすっかりイメージチェンジしました。

湘南鶏 わっぱめし

湘南鶏 わっぱめし

「踊り子」号が走る、相模・伊豆のエリアは、大河ドラマで注目されている源頼朝と北条氏ゆかりの地です。この春、小田原駅弁・東華軒から登場した新作「湘南鶏 わっぱめし」(1300円)には、鎌倉観光協会がデザインした“鎌倉 北条義時~13人の重臣~”のイラストが使用されていて、いまの時期ならではのパッケージ。東華軒によると、“湘南鶏”を新たなご当地ブランドとして盛り上げたいという思いを込め、新作を開発したと言います。

湘南鶏 わっぱめし

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【おしながき】
・茶飯 炒り玉子 桜でんぶ
・湘南鶏の照り焼き(むね・もも)
・湘南鶏そぼろ
・煮物(椎茸、筍、人参ほか)
・小田原蒲鉾(富士山)
・小田原豆竹輪の磯辺揚げ
・蓮根金ぴら

湘南鶏 わっぱめし

湘南鶏 わっぱめし

小田原市内にあるOSADA FARMでオリジナルの飼料により育てられた「湘南チキン」を使って作られている「湘南鶏わっぱめし」。秘伝のたれで焼き上げられた鶏の照り焼きは、むねとももの2つの味が楽しめます。また、東華軒と言えば鶏そぼろが名物の1つですが、こちらの駅弁の鶏そぼろは、湘南チキンを使ってこの駅弁のために開発された一品だそう。富士山が描かれた小田原蒲鉾も入って、見た目も華やかな駅弁が楽しめます。

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・小田原~熱海間

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・小田原~熱海間

運行開始から30年を迎えた東海道新幹線「のぞみ」号が、小田原の郊外・石橋地区を駆け抜けていきます。30年という歳月を鎌倉時代で置き換えると、源頼朝が征夷大将軍に任じられた1192年からさまざまな権力闘争を経て、1221年の承久の乱を抑え、武家政権としての幕府が安定していく時期と重なります。いまも昔も「30年」の間には、さまざまな物事が大きく変わっているものですね。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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