「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
東日本エリアの新幹線は、2022年が節目の年。東北新幹線(大宮~盛岡間)が6月で40年。山形新幹線(福島~山形間)が7月で30年。北陸新幹線(高崎~長野間)が10月で25年。上越新幹線(大宮~新潟間)が11月で40年。そして、東北新幹線(盛岡~八戸間)が12月で20年を迎えます。それに先駆けて3月、秋田新幹線(盛岡~秋田間)が運行開始25周年を迎えました。今回は、このメモリアル駅弁に注目しました。
残雪が映える仙岩峠を越えて、東京からの秋田新幹線「こまち」がやって来ました。秋田新幹線は、田沢湖線(盛岡~大曲間)と奥羽本線(大曲~秋田間)を、新幹線車両が直通できるようにレール幅を広げるなどの改良を行って、平成9(1997)年に開業しました。途中、大曲で進行方向が変わるため、スイッチバックする新幹線としてもおなじみですね。平成26(2014)年には、全ての車両が、現在のE6系新幹線電車に置き換えられました。
(参考)JR東日本ホームページほか
開業からの15年あまり、秋田新幹線の主力として活躍したのが、E3系新幹線電車です。当初は5両×16編成、東京~秋田間・最速3時間49分でスタート。好調な需要に支えられ、約1年半後には1両増結した6両となり、最終的には26編成まで増備されました。最高時速320kmで走行可能なE6系新幹線電車になったいまでは、東京~秋田間が、最速3時間37分、平均でも3時間40分台を実現しています。
秋田新幹線開業25周年記念弁当として、3月に秋田駅弁・関根屋から発売されたのが、「秋田牛と岩手黒豚とあきたこまちのお弁当」(1400円)です。秋田新幹線らしい鮮やかな赤いスリーブ式包装には、初代のE3系といまのE6系が顔を並べて、「25th」の文字が燦然と輝いています。パッケージには「新幹線イヤー2022」「秋田新幹線25th」のロゴも入っていて、2022年ならではの駅弁が感じられます。
【おしながき】
・白飯(秋田県産あきたこまち)
・秋田牛と筍とささがきごぼうのすき焼き風煮
・岩手黒豚煮
・笹かまぼこ
・ねぎ入り玉子焼き
・いぶり人参
あきたこまちの白いご飯の上にたっぷりと敷き詰められているのは、秋田牛と岩手黒豚。秋田新幹線によって結ばれている、秋田と岩手のブランド肉が一緒に味わえます。とくに秋田牛は、一緒に煮付けられている竹の子とごぼうの旨味も加わって食欲をそそります。おかずには仙台名物の笹かまぼこも入っていて、仙台・東京まで直通する「こまち」らしい駅弁の構成になっており、いただくだけでちょっとした旅気分にもなれますね。
関根屋によると、この駅弁は「新幹線YEAR2022」のキャンペーン中は、販売を行うそう。また、秋田駅の他、東京駅の「駅弁屋 祭」でも、同じく25周年の「リゾートしらかみ」の記念駅弁などとともに販売があると言います。東北新幹線は、3月の福島県沖地震で運転を見合わせていましたが、いよいよ明日(4月14日)から全線で運転再開。「こまち」も再び東京まで直通します。角館をはじめ、北東北の桜の名所もこれからが見ごろ。25周年を迎えた秋田新幹線の旅を楽しむ時期がやってきました!
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/