ジャーナリストの須田慎一郎が5月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。0.5%の大幅な利上げに踏み切る米FRBの姿勢について解説した。
米FRB、0.5%の大幅利上げへ
米連邦準備制度理事会(FRB)は5月3日~4日の2日間、金融政策を協議する連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。アメリカのインフレ率が歴史的な高さを記録するなかで、2000年5月以来となる0.5%の大幅な利上げに踏み切るとみられている。
飯田)FRBは、アメリカの中央銀行に当たる組織です。インフレ退治にアメリカは手こずっているのですか?
須田)そうですね。史上空前の高インフレということで、利上げをしていかなくてはなりません。しかし、その利上げがどの水準で収束するのかという見通しが立っておらず、株式マーケットにとっての大きなリスクとして出てきているわけです。
アメリカが高金利になると新興国を中心にドル資金不足に ~新興国で借金が返せなくなる可能性も
飯田)確かに先週末のニューヨークダウ平均は大幅な下げということで、939ドル18セント安でした。下げ幅が一時1000ドルを超え、かなりの下げになりました。
須田)加えてアメリカが高金利になると、世界のマネーがアメリカに向かって集まり始める状況になります。そうすると、新興国を中心に「ドル資金不足」という状況にも陥ります。
飯田)かつて「バーナンキショック」というものがありましたけれども、「アメリカが利上げを始める」という観測が出たら、急にドルが買われて新興国で借金を返せなくなるようなところが出ました。
須田)場合によっては、似たような状況になる可能性が高いです。
日本が低金利のままであれば、円が売られてドルが買われる ~円安の要因
須田)加えて大きな影響を与えているのが、日本の金融マーケットの状況になると思います。アメリカが利上げに踏み切り、金利が上がっていく。一方で、「日本は低金利のまま」という状況になると、円が売られてドルが買われる。これが大きな円安の要因にもなっているわけです。
飯田)金利の安い円で調達して、それをドルに換えて運用すれば儲かるということですか?
須田)とは言っても、日銀は利上げに動けないわけではないですか。いまのところ「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」は、まだマイナスに沈んだままデフレ状況に陥っているなかで、金融緩和を続けざるを得ないという状況になると、「円安が続いていく」という見方ができるわけです。
日本経済はどこまで円安に耐えられるか ~日銀も利上げに動かなければいけない
須田)日銀はどこまで円安に耐えることができるのか。もとより「日本経済は円安にどこまで耐えることができるのか」という状況が見えてきているわけです。
飯田)日本経済がどこまで円安に耐えられるか。
須田)そうすると、そろそろ日銀も利上げに動かなければいけない。少しわかりにくいのですが、金利が上がるということは、債券価格は下がるということですから、国債価格の下落に通ずるのです。
「円安にどこまで耐えられるか」が、「日銀がどこまで金融緩和を続けていけるのか」につながる
須田)そのような状況を見越して、いま投機筋が債券先物を中心に売りを仕掛けているのです。だからこそ先週、日銀は無制限の指し値オペ、「青天井の高値で買い取る」ということをやって、何とか落ち着かせようとしたのです。
飯田)日銀が。
須田)日銀が買い取るということは、円が出ていくわけですから、それもまた円安を加速させていくという状況になります。円安にどこまで耐えられるかということが、日銀がどこまで金融緩和を続けていけるのかというところにつながっていくのです。
円買いドル売りするためにはアメリカの了解を取らなければならない
飯田)アメリカが利上げをする方向は変わらないので、何かもう1つ出来事が起こらない限り、この構造で勝負が続いていくということになりますか?
須田)例えば、1ドル=135円~140円という状況になれば、さすがに何かやらないといけません。しかし、為替マーケットに直接介入する、つまり円買いドル売りの状況になるような場合は、最低でもアメリカの了解を取らなければならないのです。
飯田)協調で介入しないことには。
須田)単独介入でも相手国の了解を取らなくてはいけない。そして、おそらくアメリカは首を縦に振らないのではないかと思います。
投機筋に負けてしまったオーストラリア ~次は日本か
飯田)アメリカにとっては、これくらいのドル高は悪い状況ではないということですか?
須田)そうですね。一方で、少し前に日銀と同じような状況に置かれていたのがオーストラリアなのですが、これは投機筋に負けてしまいました。
飯田)オーストラリアは実はもう負けていたのですか。次は日本だという。
須田)次は日本です。
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