排便に適しているのは「考える人」の姿勢
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東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が5月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。排便の際の姿勢と薬について解説した。
排便の際の姿勢はロダンの「考える人」がいい
飯田浩司アナウンサー)排便のときの姿勢について伺いたいのですが。
鳥居)便秘のときは、力が排便の際にうまく伝わることが大切です。直腸と肛門の角度が急だと力が伝わらないので、少し体を前にかがめたような感じで、よくロダンの「考える人」のような姿勢をするといいと言われます。そうすると直腸と肛門の角度が真っ直ぐになり、出やすくなると言われています。
飯田)背筋を伸ばした方が、「ストン」と落ちるのではないかと思うのですが。
鳥居)洋式の便座の場合には姿勢がよくなりますけれども、力が入らないので、むしろ和式の前にかがむ姿勢の方が、力は入りやすいと言われています。アメリカなどでは便座が高いですから、前かがみになるような足台が通信販売で売っているぐらいで、効果があると言われています。
飯田)そうなのですね。お腹が痛いときは、姿勢を正してお腹をさすったり、腹式呼吸をしてみたりするのですが、それよりは前にかがんだ方がいいのですね。
鳥居)腸の蠕動運動を考えると姿勢をよくした方がいいかも知れませんが、排便を促すという点では、前にかがんだ方がより効果的です。
お腹が痛くなったとき、どんな薬を飲めばいいのか
新行市佳アナウンサー)突発的にお腹が痛くなってしまって、市販薬を飲むこともあると思うのですけれども、薬についての注意点はどんなことがありますか?
鳥居)お通じが硬いときと柔らかいときで異なると思いますが、お腹が痛くなって下痢をもよおす場合は、下痢止めや整腸剤を薬局などですすめられると思います。下痢止めのなかにも、固めるものと腸の動きを止めて下痢を止めるものの2種類がありますので、薬剤師さんによく相談してください。
飯田)下痢止めにも2種類ある。
鳥居)すごく痛い場合には、腸の痙攣を抑える「抗コリン薬」というものがあります。漢方のなかにも芍薬などの成分が入っているものは痛みを抑えてくれますから、相談することによっていろいろな薬を紹介してくれると思います。
慣れてしまうと効かなくなる刺激性下剤 ~便秘の場合
鳥居)便秘のときのポイントですが、便秘の薬は非刺激性の下剤と刺激性の下剤があります。よくテレビでも非刺激性の下剤は出ていると思いますが、酸化マグネシウムという成分のものは浸透圧によって水分を引き込むので、便を柔らかくしてくれます。腸を刺激しないので、比較的お子さんにも使えます。
飯田)非刺激性のものは。
鳥居)刺激性の下剤にはセンナなどがあり、すぐに出してはくれます。ただ硬さにそれほど違いはないですから、お仕事などがある方は、比較的使いやすいと思います。お通じがすぐには柔らかくならないですが、回数を多くすることによって柔らかくなってきます。
飯田)回数が多くなれば。
鳥居)ただ、頼りすぎてしまうと、刺激性下剤は効かなくなってしまいますので、適量を守ることが大切だと思います。
即効性のある「バウエルマッサージ」 ~「のの字」にお腹をマッサージ
鳥居)お腹が張ってしまっているときには、「のの字」にマッサージするといいと言われています。これは「バウエルマッサージ」と呼ばれ、お腹をマッサージすることでガスが溜まって張っているのを治してくれますから、割と即効性があって楽になります。
飯田)即効性がある。
鳥居)右側に出発点があって、左側に出すところがありますから、右から「グルッ」と左に持ってくる。そうすると腸の方向にそってマッサージができます。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます