モーターショーとCEATEC……今後の展開は?

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「報道部畑中デスクの独り言」(第294回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、「東京モーターショー」と「CEATEC」について---

近年の注目は最先端のつながる技術

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自動車の祭典である東京モーターショーと、IT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC(シーテック)」……ともに日本のお家芸である「モノづくり」を象徴する二大イベントですが、これについて最近注目すべき発言がありました。

「次回のモーターショーはジャパンオールインダストリーショーという名前にしたい。モビリティの枠を超えて日本の全産業で連携し、スタートアップ企業も巻き込んでいくことで、たくさんの人が集まる場にしたい」

5月19日の日本自動車工業会の記者会見で、豊田章男会長(トヨタ自動車社長)からこんな発言がありました。前回(2019年)のショーでは「空飛ぶクルマ」を開発するベンチャー企業や、宇宙探査車などの技術も展示されていました。国内で自動車産業に従事する人は約550万人(自工会)とされ、もともとすそ野の広い産業ですが、次回(2023年)のショーでは、ますます広がっていくことが予想されます。

東京モーターショーの会場、東京ビッグサイト(2019年)

東京モーターショーの会場、東京ビッグサイト(2019年)

5月に開催された「人とくるまのテクノロジー展」(自動車技術会主催)では、三菱ケミカル、住友化学、三井化学のケミカル大手3社が揃い踏みしていました。このうち、住友化学のブースではセンサーの波長を選択できるポリカーボネート素材が展示されていました。

これは波長を選んでセンサーの精度を高めることができるものです。つまり、余計な電波の進入を抑えられるため、自動運転の“誤作動”を防ぐことにつながるということです。

自動車産業と化学産業……素材面でこれまでもつながりはありますが、目に見える展示会でも、どんどん融合が進んでいると感じました。

東京モーターショーの会場内(2019年)

東京モーターショーの会場内(2019年)

一方のCEATEC。昨今、こちらも自動車メーカーの出展が当たり前になってきています。「クルマとモビリティは違う」と電機メーカーの幹部は語ります。モビリティを直訳すれば「乗り物」となりますが、これまでのクルマの概念に、周囲につながるためのプラットフォームを加えたものがモビリティという解釈になるのでしょう。

そのプラットフォームの一翼を担うのは、電機・IT・エレクトロニクス業界。一方、自動車メーカーのなかでは自らを「モビリティカンパニー」と称するところも多くなってきました。分野の重複は進む一方です。

人とくるまのテクノロジー展(2022年 パシフィコ横浜)

人とくるまのテクノロジー展(2022年 パシフィコ横浜)

CEATECの主催団体の1つ、電機・エレクトロニクスのメーカーで構成されるJEITA=電子情報技術産業協会では、会長が交代し、富士通の時田隆仁社長が就任しました。6月2日の就任会見で、私はこんな質問をぶつけました。

「今後のモーターショーとCEATECとの連携は? 例えば、両者が将来統合される可能性はあるのでしょうか?」

時田会長は苦笑しながら回答します。

「将来、モーターショーとCEATECが統合されるかどうかは、私にもわかりません」

住友化学のブース(2022年 人とくるまのテクノロジー展から)

住友化学のブース(2022年 人とくるまのテクノロジー展から)

その上で、「モビリティの世界とITとエレクトロニクスの世界は極めて近い関係にある。あらゆる産業が集う場として、これからも進化する場。モビリティから未来社会を創造することは、必ずどこかでつながるものだという認識は持っている」と述べました。

東京モーターショーは、1954年に開催された「全日本自動車ショウ」がルーツ。東京・日比谷公園、後楽園競輪場、晴海の東京国際見本市会場、千葉市の幕張メッセ、東京ビッグサイトと、会場は変遷しました。来場者数はバブル景気崩壊直後の1991年に200万人を超えたのをピークに、減少傾向をたどります。

CEATECの会場、幕張メッセ(2018年)

CEATECの会場、幕張メッセ(2018年)

転機となったのは2009年、リーマン・ショックなどの影響で、海外メーカーが軒並み出展を見合わせ、来場者が前回の半分以下となる61万人あまりに激減しました。当時のブースはスカスカで、自動車メーカーの隣にトミカやチョロQ、プレステソフトのブースが場を埋めていたことを思い出します(もちろん、これらも大切な「自動車関連」ブースです)。

その後は、出展社のすそ野を広げ、前回(2019年)は「青海エリア」と「有明エリア」に分かれて開催。来場者数は約130万人。12年ぶりに100万人を超えました。一方、開催年にあたる昨年(2021年)は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となりました。

CEATECの会場内(2018年)

CEATECの会場内(2018年)

一方、CEATECは1958年に開催された「テレビ・ラジオパーツショー」が前身。その後、「エレクトロニクスショー」への改称、コンピュータ・通信関連のイベント「COM JAPAN」との統合を経て、2000年に「CEATEC JAPAN」となります。

ちなみに、CEATECとは「Combined Exhibition of Advanced Technologies」の略。2019年には名称が現在の「CEATEC」となります。近年は千葉の幕張メッセで行われていましたが、2020年と2021年はコロナの影響でオンラインによる開催となりました。

モーターショーとCEATECの統合は、確かに現時点では荒唐無稽な話かも知れません。しかし、それほどお互いの分野がいままで以上に密接に重なり合っているのも事実です。産業構造が大きく変わりつつあるいま、「日本のモノづくり」を世界に発信する機会がどうなっていくのか、注目していきたいと思います。(了)

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