東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が7月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。この夏、子どもに流行っている病気について語った。
新型コロナ以外の病気が今年は流行っている ~溶連菌感染症、手足口病、夏風邪
飯田浩司アナウンサー)子どもの夏の過ごし方の注意点について伺います。新型コロナ以外に、今年(2022年)はどんな病気がありますか?
川上)今年は溶連菌感染症も出ていますし、手足口病も出てきました。また、夏風邪の子どもも多くいます。いつもの夏が戻ってきたという感じです。
飯田)去年(2021年)はRSウイルスが流行したと聞きましたが。
川上)去年の7月はRSウイルスがとても多くて、赤ちゃんたちはとても怖い思いをしたと思います。
なぜ新型コロナ以外の病気が戻ってきたかはわかっていない
飯田)今年になっていつも通りに、コロナ禍の前に戻る感じですか?
川上)しかし、皆さんがマスクを外したからだとは言えないと思うのです。そこまで皆さん外していないですから。なぜ今年はいろいろな病気が戻ってきたのか、まったくわかりません。
飯田)周期的なものかも知れないですね。でも、今年は例年と同じようにお子さんがいらっしゃる方は、いろいろな病気に気を付けなければなりませんね。
川上)そうですね。
プール熱(アデノウイルス感染症)やノロウイルスなど、お腹にくる病気にアルコール消毒は効かない
飯田)気を付けるポイントはどこになりますか?
川上)急に暑くなってきて、暑さに順応していないうちは体力を消耗しますから、しっかり涼しくしてぐっすり眠らせる。食欲も落ちてきてしまうので、いかに栄養バランスよく食べさせられるかが注意点だと思います。
飯田)まずは病気に負けない体をつくっていかなければいけないと。
新行市佳アナウンサー)コロナ対策として、手を洗うことも習慣化されてきたと思うのですが、場所によってはアルコール消毒も置かれています。手洗いやアルコール消毒は、コロナ以外の感染症や病気に対しても有効ですか?
川上)せっけんと流水の手洗いは万能です。アルコールについては、「プール熱」と呼ばれるアデノウイルス感染症にはまったく効きません。
新行)まったく効かない。
川上)アルコールでは消毒できません。ですから、「アルコール消毒さえすればいい」とは思わず、アデノウイルスやお腹にくる疾患には、ほとんど無効だと思った方がいいです。むしろ罹りやすくなると思います。
飯田)ノロもですか?
川上)ノロにも効きません。
飯田)ダメなのですね。
アルコール消毒は手が濡れるくらいの量を使い、よく擦り込まなければ効果はない
川上)アルコールは皆さんどのくらいの量を使っているのでしょうか。デパートの入り口でも「ちょっと、1滴」垂らしてやった気になっている方が多いのですが、ある程度の量をつけてよく擦り込まなければ効かないのです。
新行)しっかりワンプッシュする。
川上)そうです。
飯田)手のひらがびしょびしょになるくらいの。
川上)そこから、ゴシゴシとアライグマのように手を擦り合わせていただいて、それで効果が出ます。使った気になっているアルコール消毒がいちばん怖いです。
飯田)それでいろいろなところを触ってしまうと、ウイルスなどを運んでしまうことになる。
川上)そのままお菓子を食べてしまえば、確実に口に入りますから。
オーストラリアで大流行しているインフルエンザ ~この冬は日本でも流行る可能性が
飯田)インフルエンザはいかがですか?
川上)これから冬に向かうオーストラリアでは、すごい勢いで増えています。コロナ禍前の流行と同じくらいの勢いで、いつもの年よりも1~2ヵ月早く流行しているそうです。ですので、秋から冬にかけてはかなり警戒していかなければいけないと思います。
飯田)インフルエンザに関しても、ワクチン接種をする必要がありますか?
川上〉そうですね。ただ、日本ではワクチンは10月1日からですので、それまでは何とか流行させずにいて欲しいと願うばかりです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます