東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が7月20日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。角膜炎とコンタクトレンズとの関係について解説した。
感染性角膜炎
飯田浩司アナウンサー)今回は感染性角膜炎について伺います。角膜というのはよく聞く名前ですけれども、どこにあるのですか?
佐々木)いわゆる黒目です。直径が約11ミリで、真ん中の厚さが約0.5ミリ。
飯田)盛り上がっているわけですか?
佐々木)ドーム状の組織で、目のなかでレンズの役割をしているのです。
飯田)感染性角膜炎は、そこが炎症を起こしてしまうということなのですか?
佐々木)結膜炎にしろ、角膜炎にしろ、もともと結膜にも角膜にもバリアがあって、病原体が入らないようになっています。しかし、何らかの原因でそれが壊れて組織のなかに病原体が入り、炎症を起こしてしまうのが結膜炎であり、角膜炎です。
角膜炎のほとんどはコンタクトレンズ関連によるもの ~30歳未満では9割
新行市佳アナウンサー)原因は何なのでしょうか?
佐々木)ほとんどの場合は表面が傷つくことで起こるのですが、傷つく原因の多くがコンタクトレンズだと言われています。
新行)私もコンタクトレンズを使っています。
佐々木)全体の年齢で見ると、約4割がコンタクトレンズ関連の角膜炎です。
飯田)そうですか。
佐々木)何と、30歳未満では、約9割がコンタクトレンズによる角膜炎だと言われています。
飯田)ほとんどがコンタクト。
佐々木)関連していると言われます。
不適切な使用法によって角膜炎になってしまう
新行)コンタクトレンズをどのように使っていると、角膜炎を起こす可能性があるのですか?
佐々木)何と言っても、不適切な使用です。「1日使い捨てレンズ」を消毒もせずに毎日使っている方もいるのです。「2週間交換レンズ」は2週間で交換しなければいけないのですが、もったいないからと言って、それをずっと使ってしまうとか。
飯田・新行)ああ。
佐々木)装着したまま寝てしまうとか。
新行)それは私もやってしまうのですよね、たまに。
定期検診を必ず受ける
飯田)(コンタクトレンズを購入する際には)お医者さんの診断が必要ですし、その後も定期的に「来てください」と言われていても、行けないことが多いのですが、症状の出方に違いはありますか?
佐々木)定期検診を受けていない方は、受けている方の数倍、角膜炎の発生が多いというデータがあります。
飯田)定期検診を受けることで、もし症状が出ても初期段階で対応できるということですか?
佐々木)あとは「レンズをきちんと使いましょう」という動機付けができるのだと思います。
コンタクトレンズのケースは必ず乾燥させてから使う ~濡れたまま保存液を入れるとレンズにアカントアメーバが入って角膜炎になってしまう
飯田)角膜炎の原因となるウイルスや細菌があるのですか?
佐々木)コンタクトレンズ関連の角膜炎の2大原因は、「緑膿菌」と「アカントアメーバ」です。アカントアメーバ自体は川の水や湖の水にいるのですが、水道水のなにもいるのです。
新行)水道水のなかにいるのですか。
佐々木)気を付けなければいけないのは、コンタクトレンズのケースです。ケースを洗って、濡れたままそこに保存液を入れてしまうと、保存液のなかに水道水が混ざってしまいます。保存液ではアカントアメーバは死なないので、そこからコンタクトレンズのなかにアカントアメーバが入ってしまいます。それを装着すると、アメーバが角膜に入ってしまう。
新行)そうなのですね。
佐々木)ですので、レンズケースをきれいに洗うのも大事なのですが、きちんと乾燥させてから使いましょう。1つは乾燥させたもの、1つはいま洗ったものとして2つ用意し、乾燥させたものを使う。洗って乾燥させたものは、その次に使うようにする。乾燥させることが大事です。
ソフトコンタクトよりハードコンタクトの方が安全
飯田)ハードコンタクトとソフトコンタクトがありますが、角膜炎において違いはありますか?
佐々木)大きな違いがあります。ハードレンズは硬いレンズで水分を含まないので、いろいろな病原菌がコンタクトレンズのなかに入らないのです。また、もともと硬いので、少しでも目に傷がついたり、目にゴミが入ったときにはとても痛くなり、レンズを使い続けられません。そういう意味では安全なのです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます