東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が9月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルス感染状の全数把握見直しについて解説した。
全数把握の見直し ~基礎疾患のない軽症者が重症化した場合、どのようにフォローするのか
飯田浩司アナウンサー)新型コロナ感染者の全数把握について、政府の新たな方針が出ています。医療機関に対し、症状などの詳しい報告を求める対象を、高齢者を中心とした重症化リスクの高い人に限定する。その上で、その他については人数を国に報告してもらう方向で調整を進めているということです。会長はどうご覧になりますか?
尾﨑)いまの感染状況ですと、特に感染者がたくさん出るような首都圏や愛知、大阪、福岡、沖縄などではやむを得ないと思います。
飯田)感染者数が多いところは。
尾﨑)人数だけは報告することになっていますから、全体の感染者数はある程度出てくると思います。しかし、軽症だとみなされてしまうような20代~40代の基礎疾患がない方でも、重症化する方もいらっしゃいます。そういう人をどうやってフォローしていくか、ということが今後は問題になってくるのではないでしょうか。
中等症から重症へ病状が進む人を拾い上げる仕組みを医師会と行政でつくることが必要
飯田)私も7月末に感染しました。子どもがまず感染したので、お医者さんとはつながっていました。そのなかで「こういう症状が出て、こういう熱で」というやりとりをSNSで行いました。毎日、ある意味での問診を受けながら、一方でMy HER-SYS(マイハーシス)に自分で登録していました。これから先、ウェブ上での登録が自分でできるようになってしまうと、お医者さんと関わりを持たずに過ごしてしまう方々が出てくる可能性もありますか?
尾﨑)そうですね。その方たちのなかで、「中等症から重症へと悪くなっている方をどうやって拾い上げるか」という仕組みを、国は「都道府県に任せる」と言っているのです。
飯田)都道府県に任せると。
尾﨑)各都道府県で考えてつくっていくしかないということです。医師会と行政が一緒になって、そういう仕組みをつくることが必要なのだと思います。
定点観測の場合でも感染症の全体像は把握できる
新行市佳アナウンサー)全数把握から定点把握へという意見も出てきていますけれど、これに関してはどうお考えですか?
尾﨑)例えばインフルエンザや風疹などの場合も、定点観測という形で現実的には行っています。そういう意味では、定点観測にしたから感染症自体が把握できない、または流行の度合いが測れないということはないと思います。
定点観測を担う医療機関の負担は大きい
尾﨑)ただ、「定点観測をどの医療機関がやるのか」ということも問題になると思います。インフルエンザの場合は、特別な対策を取らなくても、お互いにマスクをしているくらいで感染が防げます。そういう意味では、まだ新型コロナへの対応は難しさがあります。定点観測はいいとは思いますけれども、定点観測を担う医療機関の負担は大きいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます