ジャーナリストの有本香が9月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イタリアの第1党になることが確実となった「イタリアの同胞(FDI)」のメローニ党首について解説した。
「イタリアの同胞」ジョルジャ・メローニ
イタリアの議会選挙で第1党になることが確実となった「イタリアの同胞(FDI)」のメローニ党首は日本時間9月26日に会見を行い、「この選挙で我々が主導する政権の樹立が明確に支持された」と勝利を宣言した。
飯田)右派連合という言われ方もします。日本のメディアによっては「極右」などとも言われています。
有本)日本のメディアは、すぐポピュリズムや極右などと言うのですけれども、世界には極左が政権を獲っている国もありますが、「極左」という言い方はしません。イタリアもウクライナで戦争が起きていて、経済的にも厳しい状況にあるなかで、「この人たちに託そう」となったのは流れとしては必然ですよね。
飯田)メローニさんに。
「脱EU」「脱ユーロ」を掲げているのは右派勢力だけではない
有本)この数年、ヨーロッパはこういう流れを行きつ戻りつしながら、ステージが上がってきた感じがしませんか?
飯田)ドイツでもそうです。
有本)フランスもルペン氏の国民連合が躍進しています。数年間を遡って考えると、イギリスでのブレグジットもそういう動きです。
飯田)そうですね。
有本)今回は右派ということですけれども、もう少し考えなければならないのは、ヨーロッパで「脱EU」のような考え方、あるいは「脱ユーロ」のようなことを掲げているのは、必ずしも右寄りの勢力だけではありません。リベラルでも地域や国に根差した形を取り戻そうと言っている人たちがいることは、覚えておかないといけません。
国の主権を一部譲り渡す仕組みがあるEU
飯田)EUには国の主権を一部譲り渡すというような仕組みがあるから、その部分でリベラルからの反対があるわけです。主権を返せと。
有本)欧州委員会がいろいろな提言を行うと、それが欧州議会で決められて、いろいろな国に「バサッ」と降りてくるわけです。
飯田)「こういう法律をつくりなさい」と。
有本)「それは勘弁してよ」となるのは、ある意味、必然かも知れません。
若いころから政治的に認められていた ~イタリアの庶民階層の人たちが希望を託す
有本)メローニ党首はベルルスコーニ政権で、若くして閣僚に任命された人です。政治的にもリーダーシップや能力は認められていたのです。
飯田)若いころから。
有本)演説を視聴していると、雰囲気や演説内容から「本当に国を愛し、国を何とかしようと考えている」という思いが、我々外国人にも伝わってくるようなリーダーではありますよね。
飯田)そうですね。
有本)庶民的な人でもあり、イタリアの庶民階層の人たちが自分たちの苦しみをわかってくれるのではないかと、希望を託した人なのだと思います。
「統合」とは逆の流れになっていく欧州
飯田)いま喫緊の問題になっているのは、イタリアでも消費者物価指数が8%を超えて上昇していると。
有本)そうですね。
飯田)「物価が上がって厳しい」という時期なのに、欧州中央銀行(ECB)はこのタイミングで利上げを決めました。
有本)そうですね。なぜなのでしょうか。
飯田)それに対し、イタリア政府としてどうするのかというところですよね。
有本)イタリアに限らず、他のヨーロッパの国々も似たような状況に置かれているわけです。これをどう乗り切っていくか、ということですよね。
飯田)イギリスも新しい政権になったばかりですが、生活支援を行う、財政出動するとなったら、金融当局と財政当局の動きがチグハグになっているということで、いまポンドが売られているそうです。これは投機的な面もあるでしょうが。
有本)本当に厳しい局面を、各国がどう乗り切っていくのか。やはり欧州は「統合されていく」という流れとは逆行することになるでしょうね。
古典的な国家の仕組みに戻る可能性も
飯田)そうですね。自国通貨建てであれば財政出動できるかも知れませんが、イタリアはユーロ圏ですからね。
有本)イタリアはユーロになったことで、割を食った面が強いのです。そういう点でも、これから若い指導者がどう動くのか。画期的な策を打ち出してくるというよりは、古典的な国家の仕組みに戻ろうとするのではないかと、そんな感じがします。
飯田)イタリアもEUのなかの大国なので、ウクライナ情勢等々がどうなるのかというところもあります。
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