東京都医師会理事で「三軒茶屋病院」院長の腎臓専門医、大坪由里子氏が10月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。三軒茶屋病院で行われている女性活躍支援について解説した。
「院内保育室」を設置する三軒茶屋病院
新行市佳アナウンサー)医療現場における女性活躍支援について教えていただきたいのですが、先生の病院では、どのような環境づくりをされているのでしょうか?
大坪)先生たちのお子さんを預かる「院内保育室」を設けています。生後8週から預かることができますので、育休を取らずに産休だけで復帰することができます。
新行)そうなのですか。
大坪)体力的に厳しかったり、赤ちゃんを連れて通勤しなければならないときには、フレックス制度を導入していますので、混んでいる時間を避けて早く来て早く帰る、またはゆっくり来て早めに帰るということにも柔軟に対応しています。
新行)病院内に保育室があるところは、いま増えてきているのですか?
大坪)増えてきていると思います。三軒茶屋病院では、私の義理の母になるのですが、前院長が3人子どもを産みながら仕事を続けていたので、随分前から保育室を設けてありました。
新行)院内にあると心強いですよね。
赤ちゃんに授乳が必要なときもすぐに行ける
大坪)「赤ちゃんが泣いているので授乳しに来てください」と伝えられ、仕事を抜けて授乳に行き、赤ちゃんの様子を見て少し抱っこしたり、また帰ってくるということもできます。そうすると安心ですよね。
新行)すぐ会えるところに自分の子どもがいるというのは、安心できますよね。
「そのとき自分に可能な範囲で社会に貢献できる」ようにすることは大事 ~コロナ禍で医師が足りない状況でもカバーできる
大坪)病院で働く人たちは資格を持っている方たちです。人も社会にとって大事な医療資源の1つになります。コロナ禍で看護師さんや医師が足りない状況になると、資格を持っている方が「自分にできる範囲で持ち場を守っていただく」ということはすごく大事になります。
新行)そうですね。
大坪)そういう方たちが最大限に働けるよう、雇い入れる側としては十分に考慮する必要があると思います。「働ける方しか働かなくていいです」となると、絶対に人材不足になります。(看護師は女性が多いが)女医さんも最近は増えてきて、医学部の半分は女性です。
新行)半分ですか。
大坪)これからも女医さんが増えることを考えると、女性が人生のステージのなかで、どんな状態のときでも仕事を続けられる。「そのとき自分に可能な範囲で社会に貢献できる」ようにすることは、とても大事なことではないかと思います。
週に5日働かなくても、他の女医さんとペアになり、「2人で1人前になればいい」
新行)環境を整えていくことを考えるにあたって、他の院長先生と情報交換などもしますか?
大坪)「どうやって女医さんを活躍させたらいいでしょうか」という質問を受けたり、講演会で話したこともありました。当院では、「毎日9時から仕事に来て、週に5日働かなければ一人前」とは考えていません。例えば、週に2日でも働けるなら、週に3日働ける他の女医さんとペアになり、「2人で1人前になればいい」という話をします。
新行)2人で1人前になればいい。
大坪)そう話すと、心の重荷が下りるのでしょうか。「それなら私にもできるかも知れない」と言ってくれます。
新行)そうですよね。
大坪)それでもいいから続けた方がいいと思います。産休で(仕事が)途切れてしまうと、戻るには非常に大きなエネルギーが必要になります。また、(作業が)遅れてしまったり、勘が鈍ることもあります。どんな形でも仕事を続けて、また務められるようになったら、両方増やしていけばいいのではないかという話はしています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます