肺がんからの転移以外は発症の原因がわからない「脳腫瘍」

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東京都医師会理事で「水野医院」院長の水野重樹氏が11月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。脳腫瘍について解説した。

肺がんからの転移以外は発症の原因がわからない「脳腫瘍」

※画像はイメージです

できる場所によっていろいろな症状を起こす脳腫瘍

新行市佳アナウンサー)脳腫瘍という言葉はよく耳にしますが、改めてどういう病気でしょうか?

水野)脳腫瘍は頭蓋骨のなかにできる腫瘍の総称ですが、腫瘍は各部位からいろいろな形で出てきますので、種類が相当あります。良性や悪性の分類はもちろんありますが、脳の場合は、できる場所によって良性であっても治療しにくいときがあります。

新行)腫瘍ができる場所によって。

水野)悪性の場合は、「播種(はしゅ)」と言いますが、脳のなかにゴマを撒くような感じで広がっていくことがあります。そうなると余命も長くない。そういった意味でも、評価が大事になると思います。

新行)なるほど。

水野)脳の真ん中辺りに垂れ下がっているような「脳下垂体」という臓器があります。そこがホルモンのセンターになっていて、甲状腺や副腎皮質などに刺激ホルモンを出す腺があるのですが、そこからできる腫瘍もあります。いろいろな体の不調が出ますが、そのなかで目の問題が出てきます。

新行)目ですか。

水野)目玉の奥から脳の方に向かい、左右の視神経が交わるところを視交叉というのですが、その辺りに下垂体の腫瘍ができると目が見えにくくなります。こういった兆候は教科書的なのですが、有名な症状です。ホルモンの場所によっては、尿がたくさん出る病気になることもあります。

肺がんからの転移以外は発症の原因がわからない「脳腫瘍」

水野重樹氏、新行市佳アナウンサー

カテーテル、放射線など、さまざまな治療法で腫瘍を取り除く

新行)どのような治療法になるのでしょうか?

水野)脳に腫瘍ができた場所によります。髄膜腫の場合は髄膜に付着していますから、頭を開けるとすぐに取れるのです。気持ちよく腫瘍が取れて、再発しないことの方が多いです。

新行)髄膜腫の場合は。

水野)奥の方になると取れない場合もありますので、我々としてはできるだけ侵襲を与えずに治療したい。その場合にはカテーテルを使ったり、放射線を使ったり、ガンマナイフを使うような治療で腫瘍を小さくし、手術で取ります。

肺がんから転移する脳腫瘍以外は原因がわからない

新行)脳腫瘍の原因は何が考えられますか?

水野)「転移性脳腫瘍」と言って、肺がんから転移することが多く、これは原因がわかります。けれども、それ以外の原因はまだはっきりしていません。

新行)だとすると、「私は血圧もあまり高くないし、健康だから大丈夫」というわけではないのですね。

水野)その通りです。

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