甘くみてはいけない「小児の新型コロナ」 脳炎から心筋炎になり、突然心臓が止まる例も

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東京都医師会理事で「かずえキッズクリニック」院長の小児科医、川上一恵氏が12月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。小児における新型コロナの現状について語った。

甘くみてはいけない「小児の新型コロナ」 脳炎から心筋炎になり、突然心臓が止まる例も

※画像はイメージです

小児科に行くのは何歳まで?

飯田浩司アナウンサー)今回は小児における新型コロナの感染状況について伺います。前段階として「小児の定義」ですが、何歳くらいまでが小児と考えられているのですか?

川上)大きい病院だと、受付は15歳までという形が多いです。

飯田)中学校卒業くらいまでですか?

川上)そうですね。ただ、そのあとの18歳~20歳代前半くらいの人たちが、「内科に行くべきか小児科に行くべきか」と迷われることが多いのです。

飯田)20歳くらいまでの人が。

川上)「学校へ行っているから小児科かな」ということで迷われるので、最近は「小児科でも20歳前後までは診ましょう」という話が出ています。

小児の感染率が増えてきている ~全体の感染者数の20%が小児

飯田)小児における新型コロナの状況ですが、第1波~第2波の初期は「子どもにはあまり感染しないようだ」という話がありました。現状はいかがですか?

川上)増えてきています。

飯田)増えてきている。

川上)昨年(2021年)のいまくらいまでは、子どもの感染率は全体の感染者数の4%くらいでした。それが今年、オミクロン株になってからですけれども、現状では全体の20%くらいが子どもです。

飯田)年齢構成比を考えると、感染率が高いかも知れませんね。

川上)大人はワクチン接種が進んでいますが、ワクチンを打てていない乳幼児の感染率が高くなっているのが1つの特徴だと思います。

飯田)小児と言っても、乳幼児も小学生もいますが、年齢層としてはいかがですか?

川上)ほとんど年齢の差はありません。

飯田)ないのですか。

川上)中学生を超えてくると、大人と同様に生活上の活動域が広がりますので、最初から多い傾向はありましたけれども、いまは関係ないですね。

甘くみてはいけない「小児の新型コロナ」 脳炎から心筋炎になり、突然心臓が止まる例も

新行市佳アナウンサー、川上一恵氏、飯田浩司アナウンサー

オミクロン株になり、保育園や学校内での感染が拡がっている

飯田)感染経路はわかっているのですか?

川上)いままでは親が感染してきて、そこから家庭内感染でうつると言われていました。しかしオミクロン株になると、最初は親から感染しても、そのあと保育園や学校で感染が拡大し、うつってしまうような形ですね。そこからまた家族内で拡がるパターンが増えています。

飯田)保育園、幼稚園、小学校でクラスターが起こり得るということですか?

川上)そうですね。最初の一例をどう見つけていくか、そこに気を付けていないと、気付いたらクラスの半分が休んでいたということもあり得ます。

小児の5%が重症化 ~脳炎から心筋炎になり、突然心臓が止まる例も

飯田)重症化する子どもはどのくらいいるのでしょうか?

川上)子どものコロナ感染において95%は、熱や咳が出るくらいの症状なのですけれども、5%程度は重症化すると言われています。痙攣で始まって脳炎、脳症を起こす症例があります。それから心筋炎になり突然、心臓が止まるような症例もございます。

飯田)心臓が止まってしまう。

川上)また、発症からしばらく経って起きる症状ですが、MIS-C……「小児多系統炎症性症候群」と呼ばれる全身の炎症を起こす症例もあります。

飯田)MIS-Cという言葉は、最近テレビでも聞くようになりましたね。

新行市佳アナウンサー)よく耳にするようになりました。

川上)MIS-Cは最初の発熱時ではなく、発熱を乗り切ったあと、6週間くらい経ってから再度出てきます。そういう意味では、重症と捉える時期が異なりますので、難しい症状です。

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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

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