『夜、鳥たちが啼く』山田裕貴×松本まりか、人生にもがく男女を生々しく体現

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1089回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、12月9日に公開された『夜、鳥たちが啼く』と『ラーゲリより愛を込めて』をご紹介します。

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映画館で観たい!『夜、鳥たちが啼く』 ~愛を求め、孤独と葛藤する

『そこのみにて光輝く』や『オーバー・フェンス』で知られる作家・佐藤泰志の短編小説を実写映画化した『夜、鳥たちが啼く』。

人生を諦めきれない男と、愛を諦めかけた女。2人が織りなす同居生活の先にあるものとは……。

『夜、鳥たちが啼く』

『夜、鳥たちが啼く』のあらすじ

同棲中だった恋人が去ってゆき、仕事もうまくいかない。鬱屈とした日々を送る、売れない小説家・慎一。そんな彼のもとに、友人の元妻・裕子が、息子・アキラとともに引っ越してくる。

行き場のない彼女のために、慎一はかつて恋人と暮らした一軒家を提供。そして自分は離れのプレハブで寝起きするという、奇妙な同居生活が始まった。

夜毎パソコンに向かい、自らの無様な姿を物語にしたためる慎一。アキラが眠ると街に繰り出し、行きずりの男たちとの逢瀬を重ねる裕子。お互いに距離を保ちながら、表面的には穏やかな日々を過ごす2人だったが……。

『夜、鳥たちが啼く』

『夜、鳥たちが啼く』のみどころ

主演を務めたのは、話題作への出演が続く山田裕貴。小説家として若くして脚光を浴びたものの、その後は鳴かず飛ばず。やり場のない苛立ちを内に秘めた青年の心情を丹念に表現しています。

そして、慎一のもとに身を寄せるシングルマザー・裕子役には、松本まりか。人間ならば誰しも持つであろう脆さと儚さを静謐に体現し、さすが演技派女優といったところ。

鮮烈な存在感を放つ2人の姿に、これまでの出演作とは一味違う魅力を感じる人も多いことでしょう。

共演には中村ゆりか、カトウシンスケ、藤田朋子、宇野祥平など、個性的な面々が集結。物語にさらなる深みを与える好演をみせています。

『夜、鳥たちが啼く』

メガホンを取ったのは、鬼才・城定秀夫監督。人生に疲れた者たちが、ほんの少しだけ前を向いて小さな一歩を踏み出すまでの心情を、どこまでも優しい視点で美しく描ききりました。

生きづらさを抱えた人々の鈍い心の痛みと、かすかな希望の物語。ささやかだけれど輝かしい一瞬を、スクリーンのなかから見出してみて。

『ラーゲリより愛を込めて』

映画館で観たい!『ラーゲリより愛を込めて』 ~どんなに理不尽な環境下でも、生きることをあきらめない。

第二次世界大戦後、60万人を超える日本人が、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に不当に抑留されたという史実があります。本作は、捕虜となるも、希望を捨てずに生き続けた男、山本幡男の苛烈な半生を描いた戦争ドラマ。

世界を見渡せば、紛争が起こっている地域がある。戦争が多くの悲劇をもたらすことは、21世紀となったいまでも何一つ変わらない。そんな時代だからこそ、多くの人に観て欲しい一作です。

二宮和也扮する主人公の「生きろ!」という叫びに、きっとあなたも魂を揺り動かされるはず。

『夜、鳥たちが啼く』

『夜、鳥たちが啼く』

2022年12月9日(金)から新宿ピカデリーほか全国公開

出演:⼭⽥裕貴、松本まりか、森優理斗、中村ゆりか、カトウシンスケ、藤田朋子、宇野祥平、吉田浩太、縄田カノン、加治将樹
監督:城定秀夫
脚本:⾼⽥亮
原作:佐藤泰志「夜、⿃たちが啼く」(所収「⼤きなハードルと⼩さなハードル」河出⽂庫刊)
製作・配給:クロックワークス
(C)2022 クロックワークス
公式サイト https://yorutori-movie.com/

『ラーゲリより愛を込めて』

『ラーゲリより愛を込めて』

全国東宝系にて公開中

出演:二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、寺尾聰、桐谷健太、安田顕、奥野瑛太、金井勇太、中島歩、田辺桃子、佐久本宝、山時聡真、奥智哉、渡辺真起子、三浦誠己、山中崇、朝加真由美、酒向芳、市毛良枝

主題歌:「Soranji」Mrs. GREEN APPLE(ユニバーサルミュージック/EMI Records)
原作:辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」(文春文庫刊)
監督:瀬々敬久
企画プロデュース:平野隆
脚本:林民生
プロデューサー:下田淳行、刀根鉄太、辻本珠子
音楽:小瀬村晶
企画協力:清水香子、文藝春秋
配給:東宝
(C)2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 (C)1989 清水香子
公式サイト https://lageri-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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