新型コロナ対応の病床数以上に必要となる「高齢患者」への医療スタッフ 東京都医師会会長・尾﨑治夫

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が1月2日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。2022年1年間のコロナの動きと医療界の現状について語った。

新型コロナ対応の病床数以上に必要となる「高齢患者」への医療スタッフ 東京都医師会会長・尾﨑治夫

※画像はイメージです

次から次に新たな変異株が出てくる新型コロナウイルス

飯田浩司アナウンサー)去年(2022年)1年間を振り返ると、やはり新型コロナということになりますか?

尾﨑)そうですね。去年の「都医ニュース」の年頭所感で、私は「今年の前半はコロナに明け暮れるでしょうけれども、後半には収束の目途も立つのではないか」という話をしました。しかし、1年間のなかでコロナウイルスは変異を繰り返したわけです。

飯田)そうですね。

尾﨑)BA.1からBA.2になって、BA.5になりました。そのBA.5もいまは6割くらいに落ちてきて、またその亜型である変異株が増えている。1年に2回も3回も変異するウイルスは、これまであまりなかったのです。

飯田)これほど変異するものは。

尾﨑)ワクチンの効果も限られてしまい、何度も流行を繰り返すことが今後も、もしかしたら続くかも知れません。昨年は厄介なウイルスに翻弄された1年でした。

介護が必要な高齢患者には通常より多くの医療スタッフが必要となる ~スタッフが足りなくなる

飯田)医療体制も変わってきますか?

尾﨑)いまはどちらかというと、ご高齢の方が重症化して亡くなられるのですが、ご高齢の患者さんには介護の必要が出てきます。重症者を入れる病棟でも、人員がそちらに割かれてしまうのです。

飯田)介護の必要なご高齢の患者さんに。

尾﨑)コロナの病床確保は7000床あまりあるわけですが、実際に動ける病床がそういう意味で限られてしまうのです。医療スタッフがそこに割かれてしまい、一般診療も含めて両方やらなければならない面があります。

新型コロナ対応の病床数以上に必要となる「高齢患者」への医療スタッフ 東京都医師会会長・尾﨑治夫

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

感染力が強いので医療従事者にも感染が拡がっている ~そこでもスタッフ不足に

尾﨑)感染力が強くなってきているため、医療従事者にも感染が増えています。病院によっては100人くらい感染者が出ているという現状です。

飯田)当然、休まなければならない。

尾﨑)そこで、さらにスタッフが足りなくなる。そういう状況もあり、ひっ迫状態はなかなか解消されていません。

飯田)頭の痛いところですよね。戦力が削がれるうえに、患者が増えるということですものね。

尾﨑)行動制限のない年末年始を迎えて、世間の方々は「ようやく我々もいい時代を迎えられそうだ」と思っていらっしゃいますが、医療面ではなかなか大変ですね。

若い人のワクチン接種率が低い ~感染しても重症化を防ぎ、周りの人にうつしにくくなる効果があるので積極的に接種するべき

新行市佳アナウンサー)ワクチン接種率に対しては、どのように思っていらっしゃいますか?

尾﨑)オミクロン対応のBA.4、BA.5のワクチンに変わっていますが、4割近くの方がワクチン接種を行っています。世界的に見ても、いちばん日本が打っていると思いますが、高齢者を除くと、接種率はまだまだ低い状態ですね。

飯田)高齢者以外は。

尾﨑)第1回目、第2回目くらいまでは、若い方も7~8割の方が打っていましたが、いまは若い方の場合、3回目の接種でさえ4割~5割という状況です。ワクチンは重症化を予防し、感染してもワクチンを打っていれば、次の人にうつりにくくなります。積極的に打っていただきたいですね。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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