日本医療におけるデジタル環境の「お寒い現状」 東京都医師会会長・尾﨑治夫

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が1月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。医療界におけるデジタル化の現状について解説した。

※画像はイメージです

電子カルテの導入は病院でもまだ約60%

飯田浩司アナウンサー)医療界の現場を見ていて、デジタル化の進み具合はいかがですか?

尾﨑)電子カルテの導入は病院で60%くらい、診療所では50%くらいだと思います。実は私のところもそうなのですが、まだまだ紙カルテを使っている診療所も半分近くあるのです。病院でも4割はまだ紙カルテを使っている状況です。

飯田)病院でも4割が紙カルテ。

尾﨑)電子カルテで重要になるのは、情報の共有です。紙だとそこから情報を出すことはできません。電子カルテであれば、結んでいるところに同じ患者さんの情報を発信することもできます。マイナンバーカードの導入で、ある程度の情報は共有できるようになりましたが、ベンダーが違うと結べない問題があるのです。

飯田)メーカーごとの規格のようなものがあって、そこが違うと相互にやり取りができないのですね。

尾﨑)現在、長崎県のネットワークや栃木県のネットワークなどいろいろとあり、そのなかではできるのですが、一緒に結ぶことはできません。

東京都医師会が「東京総合医療ネットワーク」の運用を開始

尾﨑)そこで東京都医師会などでは、目々澤理事が中心になり、「東京総合医療ネットワーク」をつくっています。ここでは異なるベンダーを結ぶ仕組みを見つけたのです。

飯田)東京総合医療ネットワークでは。

尾﨑)既存のNTT回線を使って、異なるベンダーでも結べることがわかってきました。それを進めているので、東京中のいろいろなベンダーの情報がすべてやり取りできるようになりつつあります。

飯田)情報をすべてやり取りできる。

尾﨑)2023年には40くらいの病院が入ります。そして診療所も情報を確認することができるレベルになってきています。それによって情報共有が可能になるのです。

飯田)情報共有が可能に。

尾﨑)「連携して患者さんや地域の住人を診ていこう」というのがいまの考え方なので、患者さんの情報を連携したところで、すべてが見られることが必須になってきます。そのような意味でも、デジタル化で情報共有していくことが大事なのです。

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

新型コロナ感染症に関して、いくつもの情報管理システムがあり、それぞれが結び付いていない ~かえって医療作業の手間が増えてしまう

尾﨑)ところが、現状ではそれができない。新型コロナもHER-SYSという管理システムで、コロナ感染症の方々の情報を管理しています。他にもワクチン接種記録システム(VRS)で個人の接種状況を記録している。あるいはワクチン接種円滑化システム(V-SYS)によって、さらに情報を管理しています。このようにデジタル化していても、4つも5つもあって、それらがすべて結び付いていないのです。

飯田)それぞれが結び付いていない。

尾﨑)いまのデジタル化は、かえって医療機関の負担が増えてしまうデジタル化なのです。

飯田)負担が増える。

尾﨑)それらがすべて結ばれて、すべて賄えるような仕組みになれば、非常に便利なデジタル化となります。その意味では、日本のデジタル化はまだまだお寒い状況なのです。

飯田)2025年問題は、あと2年で訪れてしまいます。

尾﨑)そうなのです。スピード感が必要なのですが、つくったものが使えるものでなければ仕方ありません。その辺りをしっかりと進めていただくよう、国の方にも要望はしています。

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