妊婦から子どもに感染する「先天梅毒」を防ぐには

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東京都医師会副会長で感染症担当、「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が1月11日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。先天梅毒について語った。

妊婦から子どもに感染する「先天梅毒」を防ぐには

※画像はイメージです

なぜ「先天梅毒」になってしまうのか

新行市佳アナウンサー)梅毒のなかでも「先天梅毒」というのは、どんなものなのでしょうか?

角田)赤ちゃんがお腹にいるときにお母さんが感染してしまうと、梅毒のスピロヘータが胎盤を通過して赤ちゃんにうつってしまうのです。そして梅毒に感染した状態で生まれてくる。それが「先天梅毒」です。

新行)赤ちゃんがお腹にいるときに。

角田)その場合、死産や流産も多いのですが、知的障害や難聴など、生まれてきたあとにいろいろな症状が出る場合があります。

妊娠初期に検査 ~その後は症状がない限り検査はしない

新行)妊婦さんが「梅毒に感染しているかどうか」を検査することはできるのでしょうか?

角田)通常は妊娠初期に、梅毒やB型肝炎などの病気を持っていないか検査しているはずなのです。しかし、何回も検査はしませんから、その時点では大丈夫でも、その後に感染してしまうと症状がない限り検査しないので、すり抜けてしまう場合があるのです。

新行)妊娠中に感染する場合があるのですね。予防する方法としては、どんなものがありますか?

角田)妊娠中のお母さんが不特定多数の方と性行為をすることは考えにくいのですけれども、問題はパートナーの方です。パートナーの方が妊娠中に危険性のある性行為をして、それをさらに自分のパートナーである妊婦さんにうつしてしまうという経路は心配です。一般的に、性行為ないしは性行為に類似した行為でなければ梅毒に感染することはありませんから、そういう行為をしないことがいちばんの予防法です。

妊婦から子どもに感染する「先天梅毒」を防ぐには

角田徹氏、新行市佳アナウンサー

先天梅毒の治療法

新行)先天梅毒でお子さんが生まれてきた場合、お子さんにはどのような治療が行われるのでしょうか?

角田)治療としては抗生物質、ペニシリンが有効ですので、そういったものがメインになります。ただ、先天性の難聴や知的障害はそこから治療しても治りませんので、感染しないことが重要です。

梅毒につながるような危険な性行為は行わない

新行)改めて、梅毒の注意点をまとめていただけますでしょうか?

角田)梅毒に感染するような危険な行為はしないことです。危険な行為をしてしまい、そのあとに症状が出た場合は、必ず検査してください。

新行)症状が出たら必ず検査を。

角田)ただ、感染から3~4週間しか経っていないと、血液検査をしてもはっきり出ない場合があります。症状が出てから、少なくとも1~2週間経った方が抗体価が測りやすいのです。疑ったら医師に相談し、検査することが極めて重要だと思います。

新行)正しい知識を身に付けておくことが大切ですね。

角田)大切です。特に性行為に伴う疾患ですから、教育現場でお話しするのは難しい面があるかも知れません。しかし、小さいころからしっかりと基本的な知識として持っておいていただくことが大切になります。

新行)医師会として、どのような啓発をしていらっしゃるのでしょうか?

角田)小学校や中学校の現場に行き、性感染症やがんの話、成人病(生活習慣病)の話などを学校医や関係する医師が生徒の方にお話しする機会が増えています。そういうプログラムはどこの学校でもあります。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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