「これほどまでに?」 コロナ禍での20歳未満の自殺者の増加率が「半端ない」

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東京都医師会副会長で「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が1月16日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。男性より罹患率が高いと言われる女性の「うつ病」について語った。

「これほどまでに?」 コロナ禍での20歳未満の自殺者の増加率が「半端ない」

※画像はイメージです

コロナ禍以降、女性の自殺者が増加

新行市佳アナウンサー)コロナ禍で女性の自殺者が増えたという報道を耳にしたのですが、実際はいかがでしょうか?

平川)令和3年度のデータを見ますと、自殺者の総数は約2万1000人で、令和2年より74人減少しました。ただ男女別に見ると、男性は12年連続で減少しているのですが、女性は2年連続で増加しています。その結果、長年自殺者の男女比は概ね7対3だったのですが、コロナ禍以降は6対4となる勢いです。本当に心配です。

令和3年8月の20歳未満の自殺者は令和2年度の4倍に

新行)やはりコロナ禍が大きく影響しているのでしょうか?

平川)コロナ禍において、これまであまり支援の目が行き届いていない方々に負担が大きく掛かっており、その負担によって不幸な結果を生んでいると推測されています。

新行)どのような年代の女性に多いのでしょうか?

平川)女性のなかでも、特に若い女性の自殺が急増しています。令和3年8月には、20歳未満の女性の自殺が令和2年度と比較して、11人から40人へと約4倍に増加しています。

新行)4倍も。

平川)また10月のデータを見ると、20~29歳、30~39歳、40~49歳の女性の各年齢層でそれぞれ2倍増加しています。

対面での授業もなくなり、人との関係が薄れたことも影響

新行)女性の自殺者が増えているなかでも、若い世代に増えている原因は何でしょうか?

平川)若い世代は友達関係など、人とのつながりをうまく噛み合わせながら成長していくのですが、コロナ禍においてそれらが制限されてしまい、普段の何気ない会話や思い、悩みを伝えることができなくなってしまいました。

新行)授業もリモートが多くなった。

平川)SNSでのつながりはありますが、本当の気持ちは伝えにくいところもあります。そのような影響が今回、弱者に対して表れたのではないでしょうか。

「これほどまでに?」 コロナ禍での20歳未満の自殺者の増加率が「半端ない」

平川博之氏、新行市佳アナウンサー

男性よりも女性に「うつ病」が多い理由

新行)男性に比べて女性の方がうつ病になりやすいというデータもあるそうですが、詳しく教えていただけますか?

平川)厚生労働省の調査では、うつ病の発症率は女性の方が男性よりも1.6倍ほど多いという結果が示されています。

新行)なぜ女性の方が多いのでしょうか?

平川)明確な理由はわかりませんが、いくつかのことが推測されています。月経周期や妊娠など、女性はホルモンの変動が非常に大きいので、それが関係しているのではないかと考えられています。

新行)ホルモンの関係。

平川)更年期においては女性ホルモンのエストロゲンが減少し、並行して脳内の神経伝達物質であるセロトニンも減少します。セロトニンは「幸福ホルモン」と呼ばれているように、感情や不安のコントロールに関連する大切な物質なので、その影響は大きいと思います。

新行)セロトニンの減少が。

平川)また、女性の場合は男性と比較すると、就職・結婚・妊娠・出産・子育て、あるいは親の介護や老後の一人暮らしなど、ライフイベントもかなりドラスティックです。当然、心理的な負担は大きいと思います。

新行)なるほど。

平川)仕事の上でも、女性の社会進出が進み「男女共同参画」と言われて久しいのですが、まだ格差があります。そのような背景もあり、女性の方がうつ病の発症が多いのかも知れません。とても残念です。

決して珍しい病気ではない「うつ病」

新行)女性ホルモンの変動でも影響を受けると考えれば、誰でもうつ病になる可能性があり、珍しい病気ではないということですね?

平川)厚労省のデータを見ても、通院している方だけでも100万人います。実際は診察を受けていない方もいらっしゃいますから、もっと多くの方がこの病気に罹患しているのです。

新行)そうなりますね。

平川)日本人の生涯のうち15人に1人が、女性については8~10人に1人がうつ病を体験することになります。決して珍しい病気ではありません。

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