人はなぜ「貧血」になるのか

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東京都医師会広報委員で「宇野医院」院長の宇野真二氏が1月31日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。貧血の原因と治療法について解説した。

人はなぜ「貧血」になるのか

※画像はイメージです

鉄欠乏性貧血

飯田浩司アナウンサー)貧血について伺います。日常的に患者さんを診ていて、どのような症状の貧血が多いですか?

宇野)日常の診療で最も遭遇する貧血は、赤血球の材料不足が原因となる「鉄欠乏性貧血」という病気です。この貧血は女性に多く、ヘモグロビンの材料となる鉄が不足することによって生じます。

飯田)女性に多い。

宇野)もともと持っている鉄の量が少ない上に、成長期で鉄の需要が高まり、月経という周期的な出血があることが原因だと考えられています。

過剰な出血が原因

宇野)妊娠中の方も鉄不足に陥りやすいと言われていますので、注意が必要だと思います。他に鉄不足になる原因として考えられるのは、過剰な出血です。

飯田)過剰な出血。

宇野)過剰な出血を起こす原因は出産もそうですが、外傷です。あとは消化器系、胃や大腸などにがんや潰瘍があって出血する場合などです。女性の場合は、婦人科的な子宮筋腫や子宮内膜症などという病態で出血を起こすことがあります。

健康診断や人間ドックなどの定期検診で発見することができる貧血

新行市佳アナウンサー)自分が貧血かどうか判断するのに、どのような検査を行えばいいのですか?

宇野)貧血の診療で一般的に用いられているのは、血液中のヘモグロビン濃度……血色素量と言いますが、それを調べれば貧血があるかどうかはわかります。あとは赤血球の量です。赤血球数と血液量に占める赤血球の割合を示すヘマトクリット値もあります。これも健診(検診)などで必ず調べる値ですので、それを調べることによって、貧血があるかどうかがわかります。

新行)なるほど。

宇野)大まかに言うと貧血も、鉄欠乏性貧血の場合は赤血球をつくるものが足りなくなるので、赤血球の大きさが小さくなってしまいます。それをヘマトクリットと赤血球数とヘモグロビンの量で計算すると、赤血球が小さいのか大きいのかを判断できます。赤血球が小さければ、鉄欠乏の可能性があるということです。

飯田)健康診断や人間ドックなどで貧血かどうかもわかるのですね。

宇野)わかります。

人はなぜ「貧血」になるのか

新行市佳アナウンサー、宇野真二氏、飯田浩司アナウンサー

自覚症状がなく、定期検診で貧血が見つかった場合は詳しい検査を

新行)貧血という結果が出た場合、その裏側に何があるのか、原因を探っていくことが大切になりますか?

宇野)検診などで見つかった場合、自覚症状がない方が多いので、見つかった場合はかかりつけ医や近くの病院で詳しく検査してもらった方がいいと思います。

貧血の治療法 ~自己判断で鉄剤を飲むことは危険

飯田)貧血そのものの治療法は、どんなものがあるのですか?

宇野)最も多いのは鉄欠乏性貧血ですが、鉄が欠乏しているので、鉄剤を投与するのが一般的です。

飯田)補ってあげる。

宇野)補うとヘモグロビンは比較的上がるのですが、赤血球の大きさが元に戻るまで鉄剤を投与した方がいいと思います。注意しなければいけないのは、鉄が足りない、赤血球が小さいという状況であっても、体内にフェリチンが十分ある場合、安易に鉄剤を投与するべきではありません。

飯田)フェリチンが十分にある場合は。

宇野)鉄が体のなかで過剰になってしまう可能性があります。過剰になってしまうと、肝臓などの臓器に障害を起こすことがあるのです。その場合は「鉄剤を飲めばいい」と自己判断することは避けた方がいいと思います。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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