睡眠を妨げる意外な「色」とは 研究結果で睡眠時間に2時間の差も

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3月8日(水)、色彩専門家の南涼子先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。「色と健康」をテーマに、家族団らんの場におすすめの色、人を幸福にさせる色、睡眠時間が長くなる色を解説した。

睡眠を妨げる意外な「色」とは 研究結果で睡眠時間に2時間の差も

幸せな気持ちを「バラ色」、憂鬱な心境を「ブルーな気分」と例えるように、心の表現としてしばしば色が用いられるが、実際に色は心と体に作用することが分かっている。色は大脳で認識され、感情の中枢である「扁桃体」や、ホルモンの分泌を促す「視床下部」、記憶を司る「海馬」を刺激するため、色は情緒を安定させたり、反対に興奮させたり、また血圧や心拍数、睡眠の質にまで広く影響をおよぼす。

■本当に「色」だけでなにか変わるのか?

笹井:どうしても「色」というと、色でそんなに変わるのかな? 根拠はあるのかな? という風に思う方もいるかもしれませんが、実際に私も、南先生の話を聞くまではそう思っていました。まずは、先生のご専門である「色彩調節」という分野について、簡単に教えてください。

南先生:もともとは私自身も、色だけでそんなに何かできるのかな? という風に疑っていたんです。ただ今回は、根拠に基づいたお話を、私がきちんと検証した、信じられるような立場でお話していきたいと思います。

私の専門分野である「色彩調節」ですが、これは100年ぐらい前に始まった概念です。建物などの空間を使う人が、効率よく快適に過ごせるように、病院であれば患者さんの回復に役立つような色彩など、目的に沿った適切な色を提案するのが基本的な考えです。

笹井:先生は介護や医療の現場で、そういうことをご提案されてきたのですよね?

南先生:はい、それが元々メインの仕事でした。

笹井:先生の著書を読んで知ったのですが、例えば、抑うつ症の奥さんを抱えて悩む旦那さんが、専門家のアドバイスに沿って部屋の色を変えたところ、症状が改善したのですよね?

南先生:結構これは有名なお話で、青系統にまとめた部屋を赤系統にしたところ、うつ症状が改善され、効果が判明されたんです。

■家族だんらんの場に使いたい色は「オレンジ」「黄色」

笹井:「オレンジ」や「黄色」は、一緒にいる人との距離を近く感じさせる、体を元気にする成分の色なのですよね?

南先生:はい。オレンジや黄色などの柑橘系の色はビタミンカラーで、このような色は、人との距離感を近く感じさせる効果があります。

笹井:黄色はオランダの国立の大学の研究で「黄色の物体を掲示された人は幸福を感じる」と報告されているそうですね。

南先生:黄色は一番人を幸福にさせ、笑顔を引き出しやすい色だといえます。

■快眠につながる、睡眠時間が長くなる色とは

笹井:イギリスで2,000世帯の「寝室の装飾の色(寝室の色)」と「睡眠時間」を調べた研究があり、快眠につながる、睡眠時間が長くなる色は、1番が青色、2番が黄色、3番が緑色だったそうですね。

南先生:逆に、睡眠を妨げる色もあり、1番が紫色、2番が茶色、3番がグレー。寝室に茶色を使っている人は多いと思いますが、この3色がワーストスリーです。

笹井:この3色はどうして良くないのでしょうか?

南先生:その研究によると、紫色は私たちのインスピレーションを最も刺激し、そして妄想を促して悪夢を見させる可能性が高い。それによって、睡眠を阻害するのが紫色だと言われています。

南先生:茶色とグレーは、退屈な感情を呼び起こし、孤独な気分にさせ、それが結果的に良い睡眠に繋がらなくなる、という見解でした。

笹井:では、茶色やグレーは、『一人暮らしで寂しいな……』と思う人はあまり使わない方がいいかもしれませんね。

南先生:そうですね、やめた方がいいと思います。

また「青」と「紫」だと、研究結果で睡眠時間に平均で約2時間の差がありました。青色は副交感神経を優位にし、私たちの体を睡眠に導きやすい状態にしてくれます。つまり、心身をクールダウンしてくれる効果があるので、ぜひ、青色を取り入れてほしいと思います。

笹井:これから暖かくなってくるので、青色は涼しさも感じていいかもしれませんね。

「気分が落ち込んでいる時は、どうしても暗い色を選びがちになる」という研究結果もあります。ぜひ意識して、暗い気持ちの時こそ、明るい色のものを身に付けたり、部屋に明るい色のものを取り入れ、自分自身が元気になるように導いていきたいですね。

この他にも番組では、白い空間が与える影響、色によって変わる体感温度、ビジネスでの交渉やプレゼンなどの場面で相手に力強い印象を与える色についても解説した。

Podcastでの聴取はこちらから。

番組情報

ドクターズボイス

毎週水曜日 21:00〜21:20

番組HP

「週刊文春 老けない最強食」の著者・笹井恵里子がパーソナリティを務める番組「徳洲会グループpresents ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」
この番組は「生命(いのち)だけは平等だ」の理念のもと全国70以上の医療機関を有する徳洲会グループのサポートでお送りします。
毎週ホットなテーマを設け、各専門分野のドクターをゲストに迎えて、そのメカニズムや対処法を分かりやすく伝えていきます。
番組では、感想や取り上げて欲しいテーマなどお待ちしております。

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