画像を見る（全8枚） きつねの鶏めし

梅雨の晴れ間、緑があふれる京都を歩くのは気分がいいものです。京都市内にも、世界からの旅行者や修学旅行生が集まるポイントもあれば、比較的静かなエリアもあります。そして、京都らしさを感じさせてくれる駅弁もいただいてみました。

225系電車「新快速」、東海道本線・島本～山崎間

京阪神を駆け抜ける新快速電車が、大阪と京都の府境に差し掛かります。戦国時代、歴史の舞台となった天王山やおなじみのウイスキー工場を車窓に眺めながらの移動は、たとえ仕事で訪れていても、自分自身も“時代の旅人”であると感じさせてくれるものです。より快適な移動を実現した新快速の有料座席「Aシート」を連結した列車も、この春から、野洲・草津～姫路・網干間で1日6往復となりました。

渡月橋

初夏の京都は緑がまぶしい時期。何度訪れても心癒されるものですが、最近はすっかり海外からの旅行者や全国からの修学旅行生が駆け回る風景が戻ってきました。日本を選んで来てもらえるのは有難いこと。一方、日本の鉄道事業者のなかには6月12日まで台湾の台北駅で開催されている「第8回鐵路便當節（駅弁祭り）」に出展している会社もあります。神戸駅弁・淡路屋も、台湾向けの「ひっぱりだこ飯」を製造したと言います。

きつねの鶏めし

そんな神戸を拠点に京阪神の駅弁を手掛ける淡路屋が、京都をイメージして作った駅弁の1つが、「きつねの鶏めし」（920円）です。食べ物の世界で「きつね」といえば、お揚げ、お稲荷さんと結びついて、縁起のいいものと捉えられます。最近は、冬・春の季節バージョンや冷凍版も登場して、淡路屋の定番駅弁の1つとなっています。いただくと、何となく嬉しい気持ちになれる駅弁ですよね。

画像を見る（全8枚） きつねの鶏めし

【おしながき】
・油揚げの炊き込みご飯
・鶏の照り焼き
・鶏つくね
・お揚げ
・煮物（ねぎ、人参、姫竹）
・すぐき漬け
・わらび漬け
・原了郭「黒七味」

きつねの鶏めし

祇園にある“原了郭「黒七味」で食べる、鶏とお揚げさんのお弁当”がキャッチフレーズの「きつねの鶏めし」。旨味たっぷりの鶏肉と心地いい甘さのお揚げに山椒の香りが効いたピリ辛の黒七味がいいアクセントとなって、どんどん箸が進みます。量も多すぎず、程よいボリューム感も嬉しいところ。京都でいっぱい美味しいものをいただいても、この駅弁なら、帰りの列車のなかで、しっかり平らげることができそうです。

琵琶湖疎水（山科疎水）

観光客であふれる嵐山から一転、列車を乗り継いで、山科の琵琶湖疎水に足を運ぶと、地元の方がジョギングや散策を楽しむ程度で、静かにゆったり水と時間が流れていました。琵琶湖疎水の水力発電を使って、京都で日本初となる路面電車が営業を開始したのは、明治28（1895）年のこと。残念ながら、45年前の昭和53（1978）年に廃止されましたが、もしも現在、残っていたら……そんな風景を思い浮かべて、遊歩道をのんびりと歩きます。

683系電車・特急「サンダーバード」、東海道本線・京都～山科間

夕日を浴びながら、眼下を北陸へ向かう特急「サンダーバード」が駆け抜けていきます。路面電車から始まり、在来線の通勤電車、中距離電車、長距離特急、さらには新幹線と発展を遂げてきた日本の電車。そんな歴史にも思いを馳せたくなるのが、京都の旅です。昔、修学旅行で学校の先生に連れられてきた京都の記憶のまま……という方も、自分の意志と足で、改めて京都の街を歩くと、きっと新たな発見があることでしょう。