東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が8月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。5類移行後の新型コロナワクチンの接種状況について語った。
ワクチン接種の現状 ~東京では高齢者の50%が接種済み
飯田浩司アナウンサー)5月に新型コロナ感染症が5類に移行しましたが、ワクチンの接種状況はどうなっているのでしょうか?
尾﨑)ワクチンを打つ対象の方は、高齢者や基礎疾患をお持ちの方、医療・介護従事者の方になります。65歳以上の方がどのくらい東京で打たれているかと言うと、50%を少し超えてきたような段階です。
飯田)50%を超えた段階。
尾﨑)接種を開始して3ヵ月ぐらい経っているわけですから、従来のスピードからすると、少し遅いなという感じです。従来なら高齢者の7 ~8割の方は打っているところですが。
医療に関わる人は「他人にうつさない」ことが大事
飯田)接種開始は5月でしたが、5割をようやく超えてきた。打っていない方はどういう方が多いのですか?
尾﨑)「5回打ったから、6回目はいらないのではないか」と言う方もいます。若い医療従事者のなかにも、打つと2日くらい熱が出る場合もあるので、それが嫌だから打たないと言う人もいます。
飯田)若い人のなかには。
尾﨑)自分が罹らないということが、うつす、うつさないという状況では重要になります。特に医療に携わる人は「他にうつさない」ことが大事ですから、きちんと打ってもらいたいと思います。
秋からの接種が最後の「無料接種」になる可能性が高い ~新しい株にも対応
新行市佳アナウンサー)今後のワクチン追加接種の対象は、どのような年齢層になるのでしょうか?
尾﨑)XBB.1.5に対応するワクチンをモデルナもファイザーもつくっていて、申請もしていますので、秋からの接種はそのタイプになると思います。
飯田)XBB.1.5系統に対応する。
尾﨑)これを打つことは大事で、年齢層も今回のように高齢者が中心ではなく、従来通り、お子さんから幅広く対象になります。おそらく今回が最後の無料接種になると思います。
飯田)5類に変わっても、しばらくは無料で対応すると政府が言っていましたけれど、その「しばらく」がそろそろ終わる。
尾﨑)しかも新しいタイプの株に対応するワクチンですので、これは打っていただきたいです。
飯田)そうですね。
尾﨑)現在、東京の場合は比較的、波が低いですが、冬には抗体が落ちる人が多くなります。秋から冬に、新しいタイプのワクチンを打っていただくのは大事だと思います。
1回も接種を受けていない人、または2回しか接種していない人 ~高齢者や基礎疾患を持っている人は早めの受診を
飯田)感染症法上の扱いが5類になったことで、特に注意する必要があるのはどんな人ですか?
尾﨑)ワクチンをまったく打っていない人は、オミクロンで重症化する人もいます。亡くなられる方には、ワクチンを打っていない方が多いのです。また、2回打っている方も、もうほとんど抗体がなくなっています。3回以上打っている方は大丈夫だと思います。
飯田)接種したのが2回以内の人は注意が必要。
尾﨑)高齢者や基礎疾患をお持ちの方、妊婦の方、透析を受けている方などは、熱が出たり、喉の痛みが出てきたら念のため受診し、早めに重症化を予防するような薬を飲むなどの対応が必要です。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます